肝臓癌の新薬レゴラフェニブの治療を受ける前に知っておきたい6つのこと


  • [公開日]2017.01.17
  • [最終更新日]2019.12.06最新の情報にアップデート

肝臓癌の新薬レゴラフェニブ(スチバーガ)について

肝臓癌による死亡率がまた下がりそうです。なぜなら、肝細胞癌の新薬であるレゴラフェニブが、現在の標準治療であるソラフェニブ治療後に病勢進行を認めた肝細胞癌患者さんに対し、投与すると有効であることが判ったからです。

肝細胞癌は肝臓癌の中でも最も多い癌種です。その原因の60%はC型肝炎ウィルスの持続感染、15%はB型肝炎ウィルスの持続感染に起因することが判っており、C型肝炎ウィルスは100%近い効果を示した新薬ハーボニーの登場により、いずれなくなると予想されています。

冒頭で死亡率が「また」下がると申しましたのは、肝細胞癌の原因療法が既に進行しているにも関わらず、ここにきて対処療法も進行する可能性が示唆されたからです。

肝細胞癌の治療方法は手術、灼熱療法などが標準治療であり、これら治療方法ができない患者さんに限りソラフェニブなどによる化学療法の治療が検討されます。

ソラフェニブは肝細胞癌の化学療法においては唯一高いエビデンスレベルを誇る分子標的治療ですが、肝機能の状態の良い患者さんに対する最初の一手としてその有効性が証明されているだけで、その後の治療は未だに確立していないのが現状です。

この現状を打破する可能性が、肝細胞癌の新薬であるレゴラフェニブにより示唆されたのです。

レゴラフェニブ(スチバーガ)の薬剤概要

製品名

スチバーガ

一般名

レゴラフェニブ(regorafenib)

用法用量

通常、成人にはレゴラフェニブとして 1 日 1 回 160mg を食後に 3 週間連日 経口投与し、その後 1 週間休薬する。これを 1 サイクルとして投与を繰り返す。 なお、患者の状態により適宜減量する。

効能効果

治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌
がん化学療法後に増悪した 消化管間質腫瘍
がん化学療法後に増悪した切除不能な肝細胞癌

主な副作用

手足症候群、下痢、食欲減退、疲労、発声障害、高血圧、発疹

製造承認日

・2013年5月(治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌)

薬価

5579円(スチバーガ錠40mg)

レゴラフェニブ(スチバーガ)の作用機序

レゴラフェニブ

http://www.scienceofcrc.org/

レゴラフェニブは腫瘍血管新生VEGFR1~3、TIE2)、腫瘍微小環境PDGFR、FGFR)および腫瘍形成(KIT、RET、RAF-1、BRAF)に関わるキナーゼを阻害します。また、変異型KIT(V560G、V654A、D816H、D820Y、N822K変異)の活性を阻害します。

レゴラフェニブ(スチバーガ)の最新文献

1)Regorafenib for patients with hepatocellular carcinoma who progressed on sorafenib treatment (RESORCE): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 tria

文献の概要

ソラフェニブ療法中に進行した肝細胞癌患者さんに対して、レゴラフェニブ単剤療法、またはプラセボ単剤療法を投与し、OS(全生存期間)を比較検証した試験。その結果、レゴラフェニブ群が10.6カ月、プラセボ群は7.8カ月と、レゴラフェニブ群の方が有意にOS(全生存期間)を延長することが判った。

文献の出典

The Lancet

文献の発刊日

2016年12月5日

レゴラフェニブ(スチバーガ)の口コミ

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その他医療関係者のコメント

参考資料

1)科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 2013年版
2)バイエルプレスリリース


科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン 2013年版

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