卵巣癌の新薬リムパーザ(オラパリブ)の治療を受ける前に知っておきたい8つのこと


  • [公開日]2016.11.30
  • [最終更新日]2017.11.27

卵巣癌とは

女性性器癌の中で最も死亡者数の多いのが卵巣癌。2011年の死亡者数は4705人と報告されています。なぜ卵巣癌により死亡者が多いかといいますと、卵巣癌の早期発見が困難だからです。

卵巣は骨盤内臓器のために癌が発生しても初期の段階では自覚症状に乏しいために癌であることに気づかないのです。

そのため、卵巣癌と診断される患者さんの40から50%は癌が進行した状態であるステージ3もしくは4の状態で発見されます。

つまり、卵巣癌の死亡率を減少させるためにはステージ3もしくは4である卵巣癌進行期における治療成績の向上が重要となります。

卵巣癌の早期発見

早期発見は困難ですが、卵巣癌には発症の危険因子が存在します。不妊、初経年齢が低い、閉経年齢、そして

BRCA1あるいはBRCA2遺伝子変異を持つ女性
です。BRCA1あるいはBRCA2遺伝子とはがん抑制遺伝子であり、この遺伝子が変異を起こすと卵巣癌などの癌を発生させる確率が高いとされています。

つまり、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子の変異の有無により、卵巣癌発症のリスクがわかるのです。

例えば、アメリカの大女優アンジョリーナ・ジョリーが卵巣を摘出したのはBRCA1遺伝子に変異がありましたので、卵巣癌の発症を防ぐ目的で卵巣を摘出しました。

このような予防療法は欧米では既に当たり前のように実施されていますが、日本では未だに未実施です。なぜなら、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査の保険適応がなされていないからです。

そのため、日本でBRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査の受診を希望するとなると、数十万円を自己負担する必要があります。

またこのような予防療法を実施するためには”臨床遺伝専門医”という資格を有する医師が属する病院での実施が、卵巣がん治療ガイドライン2015年版で推奨されているからです。

リムパーザ(オラパリブ)の薬剤概要

リムパーザ(オラパリブ)とは

BRCA遺伝子に変異を持つ卵巣癌患者のための経口ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤です。卵巣癌に罹患した女性の最大15%はBRCA遺伝子変異陽性ですので、BRCA1あるいはBRCA2遺伝子検査を受診できない日本人女性の希望の薬となり得ます。

製品名

リムパーザ

一般名

オラパリブ(olaparib)

用法用量

未定(オラパリブとして400mgを1日2回経口投与する)

効果効能

未定(BRCA遺伝子変異陽性の進行卵巣癌)

主な副作用

未定(吐き気、嘔吐、疲労、貧血)

製造承認日

2014年12月24日(米国)

薬価

未定

リムパーザ(オラパリブ)の作用機序

DNA修復経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導

リムパーザ(オラパリブ)の最新情報

1)Olaparib maintenance therapy in patients with platinum-sensitive relapsed serous ovarian cancer: a preplanned retrospective analysis of outcomes by BRCA status in a randomised phase 2 trial

概要

プラチナ製剤ベースの化学療法有効性を示したBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対してリムパーザ(オラパリブ)を投与する群、又はプラセボを投与する群に分けて、PFS無増悪生存期間)を比較検証した試験。

出典

The Lancet

配信日

2014年5月29日

リムパーザ(オラパリブ)の口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

リムパーザ(オラパリブ)の治験情報

1)Assessment of Efficacy of AZD2281 in Platinum Sensitive Relapsed Serous Ovarian Cancer

治験の概要

プラチナ製剤ベースの化学療法に有効性を示したBRCA遺伝子変異陽性の卵巣癌患者に対してリムパーザ(オラパリブ)をメンテナンス投与する群、又はプラセボをメンテナンス投与する群に分けて、そのPFS(無増悪生存期間)を比較検証する治験

治験の期限

2013年2月(終了)

参照
1)アストラゼネカ株式会社プレスリリース
2)卵巣がん治療ガイドライン

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