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術前療法としての放射線療法と免疫療法、どちらを選択すべき? ~第65回日本肺癌学会学術集会より~

[公開日] 2024.11.12[最終更新日] 2024.11.28

10月31日~11月2日、第65回日本肺癌学会学術集会がパシフィコ横浜で行われた。同学術集会のセッション「非小細胞肺癌の治療」の中で、「stage II-III 期 NSCLC に対する術前治療としての放射線化学療法とCheckMate816 レジメンの比較」と題して竹中賢先生(産業医科大学第2外科)が発表した。 非小細胞肺がん(NSCLC)のII-III期における現在の術前治療には、従来の放射線化学療法(CRT)とオプジーボ(一般名:ニボルマブ)+化学療法(CheckMate-816レジメン)の二つの選択肢があり、治療選択の明確な基準はない。このような背景の中、II-III期のNSCLCに対する術前治療として、CRTとオプジーボ+化学療法の治療成績を比較した後ろ向きの解析結果が報告された。 解析対象は2018年4月から2024年8月の間に、産業医科大学にて手術を行った原発性肺がん1265例のうち、術前にCRTまたはオプジーボ+化学療法を行った臨床病期 II-III期のNSCLC症例47例(CRT群28例、オプジーボ+化学療法19例)であった。 患者背景は、年齢がオプジーボ+化学療法群でやや高い傾向であったが、性別や病期、PSなどに大きな差は見られなかった。術前治療から手術までの期間がCRT群で長い傾向が見られたが、これは放射線による肺臓炎の影響などではないか、と竹中先生は説明した。また、ダウンステージ率(術前治療による腫瘍の縮小を反映した指標)は、CRT群とオプジーボ+化学療法群でそれぞれ39%と53%、肺葉切除術の割合は85%と95%、肺全摘術の割合は11%と5%であった。その他、手術時間や出血量、術式等に差はなかった。 手術によるR0切除(完全切除)率は、CRT群で82%に対してオプジーボ+化学療法群で100%であった。術前療法の病理学的な奏効は、pCR(病理学的完全奏効)がそれぞれの群において14%と42%で、オプジーボ+化学療法群で有意に高い結果であった。また無病生存期間(DFS)は、追跡期間が短いために両群で差がなく(NR vs. 61mo)、1年無病率も同等であった(94.1% vs 92.4%)。 術前治療のグレード4以上の有害事象はいずれの群でも認められなかったが、グレード3はオプジーボ+化学療法群で4例、CRT群で3例に認められた。一方、術後のグレード3の有害事象は、オプジーボ+化学療法群では副腎不全含めて7例、グレード4以上が肺臓炎を含む3例で認められたのに対し、CRT群ではグレード3が2例、グレード4以上は認められなかった。オプジーボ+化学療法群の方が在院日数が長い結果となったが、これは有害事象への対処が必要であったためと考えられる。 以上の結果を受けて竹中先生は、オプジーボ+化学療法群の方で病理学的奏効率が高い反面、グレード3以上の術後の有害事象が多いため、安全性の担保が重要だと考察した。 これまで原発の肺腫瘍が大きな場合には、強力な局所制御が期待できるCRTを、逆にリンパ節にも転移が見られる場合には、強力な全身制御が期待できるオプジーボ+化学療法を選択する傾向にあったが、今回の結果を受けて、処方の方針が少し変わってきている、と共同演者である田中文啓先生(産業医科大学第 2 外科)はコメントした。「局所制御の指標である病理学的奏効率が、CheckMate-816レジメン(オプジーボ+化学療法)群で有意に高い結果であったことには驚きました。免疫関連有害事象には注意が必要ですが、当科ではどちらかというとCheckMate-816レジメンの処方に傾いてきています」(田中先生) 関連リンク 第65回日本肺癌学会学術集会 ウェブサイト
ニュース 肺がん 免疫療法放射線化学療法非小細胞肺がん

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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