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米国がん学会(AACR 2020)-Verastem Oncology社が締結したKRASに関する契約の根拠が明らかに-Evaluate Vantage(2020.4.27)より


  • [公開日]2020.06.12
  • [最終更新日]2020.06.11

※本記事はEvaluate社の許可のもと、オンコロが翻訳したものです。内容および解釈については英語の原文を優先します。正確な内容については原文をお読みください。

 

米Verastem Oncology社(以下、Verastem社)の低分子化合物の併用療法は、KRAS遺伝子変異陽性の卵巣がんの治療薬として有望であるが、毒性の懸念から株価は下落した。

Verastem社がRoche社/中外製薬が開発中のRAF/MEK阻害薬であるCKI27 (VS-6766) の製造・開発・販売の独占的実施権を得る対価として300万ドルを支払った時、当時明らかにされたCKI27の臨床試験プロジェクトはKRAS遺伝子変異陽性がんに関するものだけであった。しかしながら、本日(2020年4月27日)市場に公開されたデータは、Verastem社の契約の根拠を裏付ける内容であった。

米国がん学会(AACR 2020)にて発表されたCKI27関連の演題の中で最も有望な結果は、FAK阻害薬であるdefactinib(VS-6063)との併用療法に関するものである。KRAS遺伝子変異陽性の低悪性度漿液性卵巣がんに対するCKI27+defactinib併用療法の寛解率は67%を示した。しかしながら、忍容性に問題があり、年初より210%上昇したVerastem社の株価は打撃を受け、本日朝の市場取引開始時に、40%下落した。

研究者主導の用量漸増/拡張試験では、被験者に対してCKI27 3.2mg+defactinib 200mgを超える用量で、2つのコホートに振り分ける予定であったが、用量制限毒性DLT)のためにCKI27 3.2mg+defactinib 400mgの用量コホートはただちに除外された。また、中間用量であるCKI27 4mg+defactinib 200mgの用量コホートでも治療期間6ヶ月を超える被験者が慢性毒性を発症したため治療が中止された。

本日臨床試験結果を公表したThe Institute of Cancer ResearchのUdai Banerji教授は、発症した主な副作用の重症度はグレード1~2であり、発症した全ての副作用は可逆的であると主張したが、最も憂慮すべきは用量範囲が狭いということだ。たしかに、この見解はNSCLC(非小細胞肺がん)の奏効で顕著であるようだ。

KRASの競合

この結果は、KRAS G12C阻害薬であるMRTX849を開発中で、時価総額37億ドルまで膨張した米Mirati Therapeutics社の投資家の興味を惹きつけるであろう。なぜなら、毒性はさておき、Verastem社が公表した臨床データによればKRAS変異型腫瘍の標的はKRASタンパク自体を標的にする以外のアプローチにも適応できることが示唆されたためである。

Banerji教授の同試験では、様々な腫瘍のタイプで42人の被験者が治療を受けている。最も印象的なのは、KRAS遺伝子変異陽性の低悪性度漿液性卵巣がん6人の内4人が部分寛解(PR)を示したにも関わらず、新たに追加されたKRAS遺伝子変異陰性の高悪性度漿液性卵巣がん2人は奏効を示さなかったということだ。

なお、奏効を示した4人の被験者の内、事前設定した部分寛解(PR)基準を達成した被験者は1人のみであった。しかし、被験者4人の全てがKRAS遺伝子変異陽性であり、その変異タイプはKRAS(G12D)2人、KRAS(G12V)1人、KRAS(G12A)1人とそれぞれ異なっており、MEK阻害薬の治療歴を有する被験者は4人の内3人だった。これは、RAFとMEKが同じ経路の一部を介していることと関連している。

Source: Professor Udai Banerji & AACR.

同試験は臨床初期の非対照試験であり、治験条件も異なるため他の臨床試験の結果と直接比較することはできないが、Banerji教授によると、過去の臨床試験の結果における同タイプのがん患者の寛解率は、アロマターゼ阻害薬であるFemaraで13%、MEK阻害薬であるMekinistで26%を示している。

興味深いことに、CKI27だけでなくdefactinibもメガファーマであるファイザーからバイオベンチャーであるVerastem社に対してライセンス契約が2012年に締結されたのである。この契約では、わずか150万ドルで契約一時金と売上に応じたロイヤルティが設定されていた。(Verastem plays the Kras card, January 9, 2020)

その他のがん

現在のところ、KRAS遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対して有望な臨床結果を示した新規薬剤はMirati社が開発中のMRTX849、Amgen社が開発中のKRAS(G12C)阻害薬であるAMG510がある。Verastem社が進めているCKI27+defactinib併用療法の臨床試験では、KRAS遺伝子変異陽性非小細胞肺がんの患者登録数20人以上を目標に設定されているが、米国がん学会(AACR 2020)にて発表された本試験の中間解析の結果は、被験者10人を対象にしたものであり、その結果ではKRAS(G12V)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者1人が部分寛解(PR)を示したというものだ。

しかしながら、データカットオフ日である2019年11月以降、2人目のKRAS(G12V)遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者で部分寛解(PR)が確認されたとVerastem社は発表している。なお、現在も治療中の患者は1人のみであるが、もう1人の患者でもその併用療法期間は24週間を超えていた。同試験では大腸がん患者も組み入れてはいるが、今回の米国がん学会(AACR 2020)でそのデータは発表されなかった。

今後実施される臨床試験における推奨用量はCKI27 3.2mg+defactinib 200mgであるとBanerji教授は語っているが、この低用量で低悪性度漿液性卵巣がん以外のがん腫に対して抗腫瘍効果を示せるかどうかは懐疑的である。

Source: Professor Udai Banerji & AACR.

■出典
AACR 2020 – Verastem reveals the logic behind its Kras deal

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