2018年6月8日、欧州委員会は上皮成長因子受容体 (EGFR) の活性化変異を有する局所進行または転移性非小細胞肺がん (NSCLC) の成人患者さんに対する1次治療においてタグリッソ (オシメルチニブ) 単剤療法に販売承認を付与した。本承認は New England Journal of Medicineに掲載された第III相FLAURA試験の結果に基づくものである。

新たな標準治療となり得る力強い進展

アストラゼネカのエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジービジネスユニットの責任者であるデイヴィド・フレドリクソン氏は、「本日の承認はEUのEGFR変異陽性NSCLC患者さんに新たな標準治療となり得る薬剤の提供に向けた力強い進展を示すものです。本マイルストーンは、新たな地域においてタグリッソが1次治療の承認を得たという点においても、当社にとっても一歩前進となります」と述べた。

仏グスタフ・ルッシーがん研究所 胸部腫瘍理事会 医学准教授のDavid Planchard医師は、「FLAURA試験はEGFR変異陽性NSCLCの1次治療を変革しつつあります。本試験において見られた無増悪生存期間の延長はEGFR変異陽性患者さんにおいて前例のないものであり、このベネフィットは中枢神経系転移の有無を問わず、すべてのサブグループにおいて一貫していました。さらに、中間解析の時点では統計学的に有意ではなかったものの、予備的な全生存期間データは有望であり、死亡リスクは37%低減しました。」とコメントしている。

本承認は欧州医薬品庁医薬品委員会 (CHMP) の肯定的見解に続くものである。

タグリッソに関する安全性データ

治験担当医の評価によるFLAURA試験の有効性に関する結果

FLAURA試験、AURA3試験、AURA試験およびAURA2試験のタグリッソに関する安全性データが評価された。

タグリッソの忍容性は良好で、その大部分の有害事象の重篤度はグレード1または2であった。

全症例において、最もよく見られた有害事象は白血球減少 (68% [グレード3以上:1.5%])、リンパ球減少 (67%, [グレード3以上:7.2%])、血小板値減少 (54% [グレード3以上:1.6%])、下痢 (49% [グレード3以上:1.2%])、発疹 (47% [グレード3以上:0.9%])、好中球減少 (35% [グレード3以上:4.1%])、乾燥皮膚 (33% [グレード3以上:0.1%])、爪周囲炎 (31% [グレード3以上:0.3%])、口内炎 (20% [グレード3以上:0.2%])、掻痒 (17% [グレード3以上:0.1%])。

EUにおいて、タグリッソは既に局所進行または転移性EGFR T790M変異陽性NSCLC患者さんの治療薬として承認されている。今回の承認は、米国、ブラジル及びロシア連邦におけるタグリッソの転移性EGFR変異陽性 (EGFRm) NSCLCの1次治療としての承認に続くものである。

また、タグリッソは日本においても1次治療として承認審査中であり、その判断は2018年下半期に下されると予想される。世界中で規制当局による審査や規制当局への承認申請が進行中である。

※タグリッソの1次治療は本邦未承認。

非小細胞肺がんについて

肺がんは、男女双方のがん死因の第1位であり、すべてのがんによる死亡の約5分の1を占めている。

また、肺がんによる死亡者数は、乳がん、前立腺がんおよび大腸がんによる死亡者合計を上回っている1

NSCLC患者さんのうちEGFR変異陽性の患者さんは、欧米で10-15%、アジアでは30-40%を占め2,3,4、腫瘍細胞の増殖を促進する細胞内シグナル伝達経路を阻害する既存のEGFR-TKIによる治療に非常に高い感受性を示す5

しかし、腫瘍はほとんどの場合、薬剤耐性を生じ、その結果、病勢が進行する6

既承認のEGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ、エルロチニブおよびアファチニブによる治療を受けている患者さんの約半分において、EGFR T790M耐性変異によりこの薬剤耐性が発生する。

また、EGFR変異陽性NSCLC患者さんの約25%は診断時に脳転移を有しており、診断後2年以内にその率は約40%に増加することから、より高い中枢神経系の有効性を持つ薬剤に対するニーズも存在する7

タグリッソについて

タグリッソ (オシメルチニブ) は第3世代不可逆的EGFR阻害剤であり、EGFR感受性変異およびEGFR T790M耐性変異の両方を阻害するように設計されており、中枢神経系 (CNS) 転移に対する臨床活性も有している8

タグリッソ40mg錠および80mg錠1日1回経口投与は、米国とEUを含む4地域おいて、EGFR変異陽性進行NSCLCの1次治療として承認されており、EGFRT790M変異陽性進行NSCLCの治療薬として米国、EU、日本、中国を含む75カ国以上で承認されている。

また、タグリッソは術後補助療法ならびに他の治療薬との併用療法においても現在承認に向けて開発中9,10

FLAURA試験について

FLAURA試験は、前治療歴のない局所進行あるいは転移性EGFR変異陽性NSCLC患者さんを対象とし、タグリッソ80mg1日1回投与の有効性および安全性を標準治療であるEGFRチロシンキナーゼ阻害剤 (エルロチニブ [150mg 1日1回経口投与]あるいはゲフィチニブ [250mg 1日1回経口投与])と比較検討した試験を指す。

本試験は、二重盲検無作為化試験であり、29カ国の556例の患者さんを対象としている11

参照
1. American Cancer Society. Key Statistics for Lung Cancer. Available at https://www.cancer.org/cancer/non-small-cell-lung-cancer/about/key-statistics.html. Accessed November 2017.
2. Szumera-Ciećkiewicz A, et al. EGFR Mutation Testing on Cytological and Histological Samples in Non-Small Cell Lung Cancer: a Polish, Single Institution Study and Systematic Review of European Incidence. Int J Clin Exp Pathol. 2013:6;2800-12.
3. Keedy VL, et al. American Society of Clinical Oncology Provisional Clinical Opinion: Epidermal Growth Factor Receptor (EGFR) Mutation Testing for Patients with Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer Considering First-Line EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Therapy. J Clin Oncol. 2011:29;2121-27.
4. Ellison G, et al. EGFR Mutation Testing in Lung Cancer: a Review of Available Methods and Their Use for Analysis of Tumour Tissue and Cytology Samples. J Clin Pathol. 2013:66;79-89.
5. Langer CJ, et al. Epidermal Growth Factor Receptor Inhibition in Mutation-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer: Is Afatinib Better or Simply Newer? J Clin Oncol. 2013:31(27);3303-05.
6. Yu HA, et al. Analysis of Tumour Specimens at the Time of Acquired Resistance to EGFR-TKI Therapy in 155 Patients with EGFR-Mutant Lung Cancer. Clin Cancer Research. 2013:19(8);2240-46.
7. Rangachari, et al. Brain Metastases in Patients with EGFR-Mutated or ALK-Rearranged NonSmall-Cell Lung Cancers. Lung Cancer. 2015;88,108–111
8. Cross DAE, et al. AZD9291, an Irreversible EGFR TKI, Overcomes T790M-Mediated Resistance to EGFR Inhibitors in Lung Cancer. Cancer Discov. 2014:4;1046-61.
9. National Institutes of Health. AZD9291 Versus Placebo in Patients With Stage IB-IIIA Non-small Cell Lung Carcinoma, Following Complete Tumour Resection With or Without Adjuvant Chemotherapy (ADAURA). Available at: https://www.clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02511106. Accessed November 2017.
10. National Institutes of Health. AZD9291 in Combination With Ascending Doses of Novel Therapeutics. Available at:https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02143466. Accessed November 2017
11. Ramalingam S, et al. Osimertinib vs SoC EGFR-TKI as First-Line Treatment in Patients with EGFRm Advanced NSCLC (FLAURA). Presented at the European Society for Medical Oncology (ESMO) 2017 Congress, 8-12 September 2017, Madrid, Spain.

参考元
アストラゼネカ株式会社ニュースリリース

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