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日本の実臨床を反映した新しい希少がん分類を策定:正しい情報提供と希少がん対策の推進に期待 国立がん研究センター

[公開日] 2025.06.11[最終更新日] 2025.06.10

国立がん研究センター中央病院希少がんセンターは6月10日、新しい希少がん分類「New Classification of Rare Cancers(NCRC)」の策定に伴い、記者会見を実施した。 川井章先生(中央病院希少がんセンター センター長)によると、希少がんは数が少ないゆえに、診断の遅れや誤り、診療可能施設の制限、治療開発の遅れ、治療法やガイドライン整備の難しさなど、様々な課題を抱えている。 希少がんへの対応は、第4期がん対策推進基本計画(2023 年3月)において、「適切な診断に基づく治療を提供するための体制整備の推進に取り組むべき」と明記されており、その実現のためには、どのがんが希少がんなのかを明確に分類することが必要だ。 また、これまでの希少がん分類については、欧州のRARECARE分類が使われてきたが、10年近く改訂が行われておらず、また欧州の分類を日本の希少がんに適用させることに対する課題も指摘され、日本の実臨床に即した分類が必要とされてきた。 そこで今回、国立がん研究センター希少がんセンターは、がんが発生する臓器と組織型で希少がんを分類する新しい希少がん分類「New Classification of Rare Cancers(NCRC)」を策定した。同分類の検討は2021年から始まり、ミーティングやWebでの医師・研究員からの意見をもとに、臓器と組織型を組み合わせた希少がんの再分類が行われたという。 谷田部恭先生(中央病院病理診断科 科長)によると、今回の分類によって3つのことが明らかとなった。一つは、全国がん登録データ(2016-2019年)約410万例を対象に、年間発生人口10万人あたり6例未満」を基準にNCRCを使って分析した結果、臓器ごとの発生が少ない31種のがん(組織型は問わない)と、がんの発生が多い臓器に発生する希少な組織型のがん(例えば、胃がんの中のGIST)を含む364種の組織型のがん(臓器は問わない)に分類され、合計395種のがんが識別できること。二つ目は、NCRC分類で希少がんに該当するがんは、全発生数の約2割を占めること。そして三つ目に、欧州のRARECARE分類と比較した結果、RARECARE分類では希少がんに該当せず、NCRCでのみ希少がんに該当するがんが、全がんの5.7%であるということである。また谷田部先生は、新たな組織型や疾患の登場に応じて、全国がん登録をもとに分類や年間発生率を継続的に見直すとしている。 東尚弘先生(がん対策研究所 医療政策部 客員研究員)は、今回の成果として、今後NCRCが日本の希少がん対策において活用され、希少がんの医療体制の整備や専門医療の集約、支援策の充実につながると期待を述べた。また将来的には、アジアの希少がんの治療開発を推進する国際共同研究MASTER KEY Asiaでの利用により、アジア諸国との連携や国際がん研究機関(IARC)を通じた全世界での新しい希少がん分類の基盤とすることを目指している。 今回の希少がんの定義が明確になったことは、実臨床の対応の変化や研究の促進に直結するものではない。しかしながら、日本の希少がんの実態把握ができたこと、またこれまで希少がんかどうかが曖昧であった部分も含めて“希少がん”としての線引きが明確になり、今後対策が必要な対象が明確化したことになる。この成果が希少がん患者さんへの正しい情報提供、更には適切な医療にアクセスできる社会の実現に向けた転換期となることが期待される。 参照元: 国立がん研究センター プレスリリース
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浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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