あなたは医師ですか。
強力な寛解導入療法非適応の急性骨髄性白血病に新たな治療選択肢 日本セルヴィエがメディアセミナーを開催
[公開日] 2025.06.30[最終更新日] 2025.06.27
日本セルヴィエ株式会社は6月26日、「国内初、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病を対象とした治療薬『ティブソボ錠』発売- 強力な寛解導入療法が適応とならない患者さまにとっての新たな治療選択肢が登場 -」と題したメディアセミナーを実施。日本医科大学付属病院院長の山口博樹先生が講演した。
白血病は、骨髄の中にがん細胞である白血病細胞ができ、本来骨髄で作られるはずの赤血球、白血球、血小板が作られなくなり、貧血や感染症、血が止まらないなどの症状が出てくる血液のがんである。白血病の中でも特に急性骨髄性白血病(AML)は70歳以上で罹患率が高いことから、高齢化の進む日本では、罹患率が年々増える傾向にある。
AMLの治療は、強力な化学療法による寛解導入療法が重要であるが、高齢者(65歳以上)の患者さんでは、全身状態や合併症等の理由により、半数近くが寛解導入療法の適応とならない。寛解導入療法非適応AMLに対するこれまでの標準治療の全生存期間(OS)中央値は、ベネトクラクス+アザシチジン併用により17.2-14.7ヵ月と報告されていた。
このような背景の中、IDH1遺伝子変異陽性の急性骨髄性白血病に対するティブソボ(一般名:イボシデニブ)が登場した。
IDH1(イソクエン酸脱水素酵素1)は、骨髄系細胞が成熟して血液細胞になる分化を担っており、IDH1遺伝子変異陽性AMLにおいては、骨髄系細胞の分化が阻害され、白血病細胞の増殖が促進される。山口先生は、正常な骨髄芽球の分化を阻害するため、幼若なままの細胞が増えることで次の遺伝子変異が起こる可能性が増え、遺伝子異常を獲得しやすくなると説明した。
承認の根拠となったAGILE試験の結果について、山口先生は、高齢症例においても治療の持続が示されており、安全性と有効性の高さがうかがわれると、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)のデータに言及した。またOSの中央値が29.3ヶ月(13.2-NE)であり、現在の標準療法と比較して高い生存率が保たれることも評価ポイントであるという。
安全性に関して、ティブソボは白血病細胞の破壊ではなく正常な分化を促進するため、治療開始から好中球数を減少させる懸念がなく、血液毒性の発症を低く保ったまま治療を続けることができる。一方で、逆に分化促進作用が行き過ぎてしまうことで分化症候群が起きるが、ほとんどが低グレードであり「マネジメントは十分可能」と、山口先生はコメントした。
ティブソボは2024年11月時点でIDH1遺伝子変異陽性AMLに対して41ヵ国で承認されていたため、ドラッグラグの解消という観点からも、日本において待ち望まれてきた薬剤であると山口先生。ティブソボ併用療法は、強力化学療法非適応のIDH1遺伝子変異陽性AMLにおいて、新たな初回治療の選択肢となっていくことが期待される。
関連情報:
日本セルヴィエ株式会社 プレスリリース
ニュース
白血病
イボシデニブティブソボ急性骨髄性白血病
治験・臨床試験
一覧を見る
リサーチ・調査
一覧を見る
ニュース
一覧を見る
イベント
一覧を見る
患者会
一覧を見る
ログインいただくと特定のがん種の最新情報をお知らせしたり、チャットでご相談していただけるようになります。