第一三共株式会社は6月2日、抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)ダトロウェイ(一般名:ダトポタマブ デルクステカン;Dato-DXd)と免疫チェックポイント阻害薬との併用療法について、Actionable遺伝子変異(治療標的となり得る遺伝子変異)のない非小細胞肺がんへの初回治療を対象とした2つの第1b相臨床試験 (TROPION-Lung02、TROPION-Lung04 )および術前・術後薬物療法を対象とした第2相臨床試験 (NeoCOAST-2)の最新データを報告した。
有効性:客観的奏効率(ORR)は、Dato-DXd+キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)の2剤併用群(42名)で54.8%、Dato-DXd+キイトルーダ+プラチナ製剤の3剤併用群(54名)で55.6%であった。同試験に参加した患者より得られた組織サンプルは、アストラゼネカが開発した定量的連続スコアリング (患者の組織サンプルのデジタル画像を解析し、画像内の全てのがん細胞の表面および内部に発現する標的タンパク質を正確に定量化する新しい計算病理学的プラットフォーム;QCS)を用いて分析された。その結果、QCSを使ってTROP2陽性と判定された患者においては、2剤併用群および3剤併用群ともに無増悪生存期間(PFS)の延長傾向が認められた。
安全性:同試験において、新たな懸念は認められなかった。グレード3以上の薬剤関連有害事象(TRAE)は、2剤併用群で40.5%、3剤併用群で55.6%の患者に認められた。また薬剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)の発症については、2剤併用群でグレード3が2名(4.8%)、3剤併用群でグレード3が1名(1.9%)であった(ILD独立判定委員会による)。
有効性:Dato-DXd+抗PD-1/TIGIT二重特異性抗体rilvegostomig併用群40名におけるORRは57.5%(完全奏効1名、部分奏効22名)で、病勢コントロール率は95%であった。奏効は、扁平上皮がんおよび非扁平上皮がんの両方で、PD-L1の発現レベルに関わらず認められた。
安全性:Dato-DXdおよびrilvegostomigの既知の安全性プロファイルと同様の傾向で、新たな懸念は認められなかった。グレード3以上のTRAEは、60%の患者に認められた。ILDの発症については、ILD独立判定委員会により、グレード2が3名(7.5%)、グレード3が2名(5%)であった。
有効性:術前薬物療法としてのDato-DXd+イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)+プラチナ製剤の3剤併用群では、病理学的完全奏効率が35.2%で、病理学的著効率(がん細胞の残存率が10%以下である状態)は63%であった。
安全性:各薬剤の既知の安全性プロファイルと同様の傾向で、新たな懸念は認められなかった。グレード3以上のTRAEは、術前薬物療法の期間において、24.1%の患者に認められた。
第一三共は、様々なステージの非小細胞肺がん治療に新たな選択肢を提供できるよう、これらの試験や現在進行中の第3相臨床試験を通じて、同剤と免疫チェックポイント阻害薬との併用療法の開発を加速させていくとしている。
なお、これらの試験結果の詳細は、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2025)で発表された。
参照元:
第一三共株式会社 プレスリリース