この記事の3つのポイント
・中間リスクの子宮頸がんを対象としたコホート研究
・広汎子宮全摘術後の放射線療法に対する化学療法上乗せの有効性・安全性を検討
・放射線療法に対する化学療法の上乗せは、有効性を改善せず
2025年3月15日、医学誌『JAMA Oncology』にて、広汎子宮全摘術を受けた中間リスクの子宮頸がんに対する術後療法として、化学放射線療法と放射線療法の有効性、安全性を検証したコホート研究の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのNúria Agustí氏らにより公表された。
この研究では、IB期子宮頸がん(扁平上皮がん、腺扁平上皮がん、腺がん)で、中間リスク群に分類され、根治的子宮全摘術後に補助放射線療法を受けた1,116人の患者が解析対象となり、うち486人(43.5%)が化学放射線療法を受けていた。傾向スコアマッチング(1:1) で治療群間のベースライン特性を均衡化し、カプランマイヤー分析と比例ハザードモデルにより生存期間、死亡リスクを比較検証した。
本試験の結果、評価項目である5年全生存率(OS)は、化学放射線療法の87%に対して放射線療法では87%と、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.85,95%信頼区間:0.59-1.23,P=0.38)。また、サブグループ解析では腫瘍サイズ、組織型、リンパ脈管浸潤の有無、手術アプローチ、術後腔内照射(ブラキセラピー)の有無等により検証したが、放射線療法に対する化学放射線療法の有用性は確認されなかった。
以上の試験の結果よりNúria Agustí氏らは、「放射線療法に化学療法を追加しても、中リスク子宮頸がん患者の全生存率の改善にはつながらないことを示しています」と結論付けた。
参照元:
Adjuvant Chemoradiotherapy vs Radiotherapy Alone for Patients With Intermediate-Risk Cervical Cancer(JAMA Oncol. 2025 doi:10.1001/jamaoncol.2025.0146)あなたは医師ですか。