この記事の3つのポイント
・CAR-T細胞療法後のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を対象とした第1相ELM-1試験の拡大コホート
・抗CD20/CD3二重特異性抗体であるOdronextamab単剤療法の有効性・安全性を検討
・Odronextamabが再発時期に関わらず奏効を示す
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、CAR-T細胞療法後に病勢進行したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する抗CD20/CD3二重特異性抗体であるOdronextamab単剤療法の有効性、安全性を検証した第1相のELM-1試験(NCT02290951)の拡大コホートの結果がRutgers Cancer Institute and RWJBarnabas HealthのMatthew Matasar氏らにより公表された。
本コホートでは、CAR-T細胞療法後に病勢進行したDLBCL患者に対して、1サイクル目はステロイドの予防的投与とOdronextamabの段階的投与を行い、2サイクル目以降は1、8、15日目にOdronextamabを160mg投与した。21日を1サイクルとして4サイクル目まで投与後、維持療法として2週毎にOdronextamabを320mgで病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、9カ月以上の完全奏効(CR)を示した症例においては、4週毎の投与間隔に変更した。主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を検証した。
本コホートに登録された60人の患者背景は、CAR-T療法からの治療期間中央値が6.5ヶ月、年齢中央値が63歳(27-82歳)、そのうち75歳以上が10%、性別は男性が65%、前治療歴中央値は3レジメン(2-9レジメン)であった。またCAR-T療法から90日以内に病勢進行した患者割合は48%、180日以内は67%であった。
主要評価項目であるORRは48%、CRは32%をそれぞれ示した。CAR-T療法後90日以内で病勢進行した症例のORRは21%(N=6/29人)、180日以内の症例では33%(N=13/40人)を示した。DORの中央値は14.8ヶ月(95%信頼区間:2.8ヶ月-未到達)、CRを達成した場合のDORの中央値は未到達(95%信頼区間:3.3ヶ月-未到達)、24ヶ月間CRを維持する確率は68%、PFSの中央値は4.8ヶ月(95%信頼区間:2.6-5.4ヶ月)、OSの中央値は10.2ヶ月(95%信頼区間:4.6-15.8ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多く確認された治療関連有害事象(TRAE)はサイトカイン放出症候群(CRS)で、全グレードが48%、グレード1が25%、グレード2が23%、グレード3以上は認められなかった。グレード3以上のTRAE発症率は77%を示し、好中球減少症が17%、貧血が13%、好中球数および白血球数減少はそれぞれ10%を示した。AEによる治療中止率は8%(N=5人)、その他のAEとしては、COVID-19、肺炎、脳症、てんかん、歩行障害であった。免疫細胞関連神経毒性症候群(ICANS)は1人の患者も確認されず、グレード3以上の感染症は20%(N=12人)の患者で確認された。
以上のELM-1試験の結果よりMatthew Matasar氏らは「CAR-T細胞療法後のDLBCL状況において、Odronextamabがアクセスしやすい既製の選択肢になる可能性が示されました」と結論付けた。
参照元:
Efficacy and Safety of Odronextamab Monotherapy in Patients (Pts) with Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL) Progressing after CAR T-Cell Therapy: Primary Analysis from the ELM-1 Study(ASH 2024)あなたは医師ですか。