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既治療のHER2陽性局所進行または転移性乳がんに対するトラスツズマブ デュオカルマジン、無増悪生存期間を有意に改善

[公開日] 2024.11.06[最終更新日] 2024.11.05

この記事の3つのポイント ・複数の治療歴を有するHER2陽性局所進行または転移性乳がんを対象とした第3相のTULIP試験 ・新規の抗HER2抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デュオカルマジンの有効性・安全性を検討 ・トラスツズマブ デュオカルマジンにより無増悪生存期間が有意に改善
2024年10月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、HER2標的療法もしくは抗HER2抗体薬物複合体カドサイラ(一般名:トラスツズマブ エムタンシン)治療中あるいは治療後に病勢進行したHER2陽性局所進行または転移性乳がんに対する抗HER2抗体薬物複合体であるトラスツズマブ デュオカルマジン(T-Duo)療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のTULIP試験(NCT03262935)の結果がRoyal Marsden Hospital and Institute of Cancer ResearchのNicholas Turner氏らにより公表された。 本試験は、HER2標的療法もしくは抗HER2抗体薬物複合体カドサイラ治療中あるいは治療後に病勢進行したHER2陽性局所進行または転移性乳がん患者に対して、T-Duo療法を投与する群、もしくは主治医選択の化学療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証したオープンラベル無作為化の第3相試験である。 本試験に登録された437人(T-Duo群291人、主治医選択化学療法群146人)の患者背景は、年齢中央値が56.0歳(24-86歳)、前治療歴の中央値が3レジメンであった。 主要評価項目であるPFSの中央値は、T-Duo群の7.0ヶ月(95%信頼区間:5.4-7.2ヶ月)に対して主治医選択の化学療法群で4.9ヶ月(95%信頼区間:4.0-5.5ヶ月)と、T-Duo群で病勢進行または死亡のリスクが36%減少(HR:0.64,95%信頼区間:0.49-0.84,P=0.002)した。 全生存期間(OS)中央値は、T-Duo群の20.4ヶ月に対して主治医選択の化学療法群で16.3ヶ月(95%信頼区間:4.0-5.5ヶ月)と、T-Duo群で死亡のリスクが17%減少(HR:0.83,95%信頼区間:0.62-1.09,P=0.153)した。 客観的奏効率(ORR)は、T-Duo群の27.8%に対して主治医選択の化学療法群で29.5%を示した。また、臨床的ベネフィット率(CBR)、奏効持続期間(DOR)も主治医選択の化学療法群に比べてT-Duo群で良好であった。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はT-Duo群の52.8%に対して主治医選択の化学療法群で48.2%を示した。 以上の結果よりNicholas Turner氏らは、「T-Duoは、2 回以上のHER2標的療法中または治療後、あるいはT-DM1後に進行した進行HER2陽性乳がんの進行リスクを大幅に低減しました」と述べた。 参照元: Trastuzumab Duocarmazine in Pretreated Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Advanced or Metastatic Breast Cancer: An Open-Label, Randomized, Phase III Trial (TULIP)(Journal of Clinical Oncology 2024 doi: 10.1200/JCO.24.0052)
ニュース 乳がん HER2T-Duoトラスツズマブ デュオカルマジン

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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