• 検索
  • 相談
  • お知らせ
  • メニュー
  • がん種
  • 特集
  • 治験
  • リサーチ
  • イベント
  • 体験談
  • 患者会
  • 辞典
  • お役立ち

医師と患者がともに納得した治療を選択するために~アストラゼネカ社が前立腺がんセミナーを開催~

[公開日] 2024.10.18[最終更新日] 2024.10.18

10月16日、アストラゼネカ株式会社主催の「いま知っておきたい!前立腺がん~西川 貴教さんと学ぶ、前立腺がんと向き合うための医師とのコミュニケーションのポイント~」と題したセミナーが開催された。 前立腺がんサバイバーである武内務氏(腺友倶楽部 理事長)は、診断のきっかけは、排尿障害であったと言う。当時はマラソンを得意とし、伴走者としての活動も実施していた武内氏。その活動にも支障が出てきたために検査をしたところ、前立腺特異抗原(PSA)が非常に高値であったため、告知前から自身で調べることで進行前立腺がんの可能性に気がつき、恐怖で眠れなかったと語った。 実際の診断では、IV期に近いが転移はないという、かなり進行した段階での発見だったため、根治が目指せないホルモン療法が提案されたが、50代半ばで根治も目指せない治療を続けることに疑問を感じ、必死で情報を集めた、と武内氏。まずセカンドオピニオンをしたところ、そこでも5年生存率2割ということを宣告され、更にあきらめきれずに治療法を探し、放射線療法に辿り着いた。当時の情報収集に苦労した経験は、現在の患者会での活動にもつながっている、と武内氏は語る。 実際に受けた治療は、最先端の放射線療法だったと言う。最初の数年はホルモン療法を併用していたが、その後は無治療で生活できていた武内氏。そのときは、がんになる前にやっていたウルトラマラソンにも挑戦し、もう治ったのではないか?と思える時期もあったが、その後2-3年経ってPSA値が上がってきたことから、がんはそこまで甘くないということを実感した、と当時を振り返った。 上村博司先生(横浜市立大学附属市民総合医療センター診療教授)による疾患の解説や武内氏のお話を受け、西川貴教氏(アーティスト、T.M.Revolution)は今回のテーマである「医師とのコミュニケーション」について、がんと宣告された直後は、将来の不安と目の前の課題の多さで、何から考えたら良いか分からない状態になるのではないか、とコメント。そのような中で、どのように納得した治療を見つけていけばよいのだろうか。 アストラゼネカ社が2024年に実施した前立腺がん患者調査では、治療選択肢に関して、「治療選択肢を1つ提示された」患者さんが26%、転移性前立腺がんに絞ると52%に上った。一方で、「複数の治療選択肢の提示」を希望する患者さんの割合は全体で87%、転移性がんでは65%であった。 この結果を受けて上村先生は、選択肢の可能性をすべて知りたいという患者さんの気持ちを理解したうえで、医師の中では最善だと思う選択を提示している、というケースが多いとコメント。また西川氏は、限られた時間内で最善の治療の提供を目指す医療者と、治療選択肢や自身の想いをすべて聞いてほしい患者側の双方がうまくかみ合うようなコミュニケーションの必要性に言及した。 同患者調査では、治療に対する要望に関して、「医師から要望の確認がなかった」と回答した患者さんは28%、転移性がんでは42%であった。また「要望を伝えた」患者さんは、29%、転移性がんでは42%であった。要望があったにもかかわらず伝えなかった理由として、「要望を伝えずに任せた方がいいと考えた」、「どういったことを伝えたらいいか分からなかった」との回答が多く、その他「要望が実現できると思わなかった」、「医師が忙しそうで要望を伝える時間がなかった」、「医師との関係性が悪くなるかもしれないと思った」なども挙げられた。 これを受けて武内氏は、患者は目の前に医師がいる状況になると、治療に関して考えていることがあっても、つい発言を遠慮してしまいがち、とコメントした。一方で、今は情報過多の時代であり、医師が提示した治療選択肢に関する間違った先入観が先行することで、治療を拒否する患者さんもいる、と上村先生。患者側も、自身のがんや治療に対して正しく向き合い理解したうえで、治療を検討していくことが大切だ。 続いて遺伝子検査に関して、説明を受けた患者さんはわずか8%にとどまっていた。これは、現在の日本において、前立腺がんで遺伝子検査が保険適応とされているのは、遠隔転移のあるホルモン療法抵抗性の症例に限られているため、医師が積極的に勧められない背景もある。ただし、この遺伝子検査の保険適応の制限を理解した上で、医師に患者側から遺伝子検査の可能性に関して聞いてみることは可能だ。 最後に、医師とのコミュニケーションと治療満足度相関しており、満足のいくコミュニケーションがとれた患者さんの98%が治療にも満足していた一方で、コミュニケーションに不満だったと回答した患者さんの中で、治療に満足していたのは39%にとどまった。 上村先生は、患者さんひとりの場合と比べて家族同席の場合の方が、スムーズに話し合いながら治療を決めることができる、と自身の経験を語った。また患者さんひとりの場合であっても、あらかじめ希望や疑問をメモに書いてくることで、医師側も対応しやすくなる、と話した。これに対し武内氏は、高齢の患者さんで、特に病院に通うことに慣れていない場合には、家族が一緒に行くことが望ましい、とコメントした。 西川氏は、がんを他人事と考えず、定期的に検査を受けて自身の状態の経過を知っておくこと、また少しでも疑問に思うことは専門家に聞く、ということの大切さを知った、とコメント。また、体を鍛えているから自分は大丈夫、という過信は避け、生活習慣等もこれから見直していきたい、と話した。
ニュース 前立腺がん SDM

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

治験・臨床試験

一覧を見る

リサーチ・調査

一覧を見る

ニュース

一覧を見る

イベント

一覧を見る

患者会

一覧を見る