この記事の3つのポイント
・免疫チェックポイント阻害剤治療歴があるシスプラチン不適格の転移性尿路上皮がんを対象とした第2相のTROPHY-U-01試験
・Trop-2を標的とした抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンの有効性・安全性を検討
・有望な奏効率と管理可能な安全性プロファイルを示す
2024年8月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて免疫チェックポイント阻害剤治療後に病勢進行したシスプラチン不適格の転移性尿路上皮がんに対するTrop-2を標的とした抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカン単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のTROPHY-U-01試験(NCT03547973)のコホート2の結果がYale School of MedicineのDaniel P. Petrylak氏らにより公表された。
TROPHY-U-01試験は、切除不能な局所進行/転移性尿路上皮がん患者に対して、21日を1サイクルとして1、8日目にサシツズマブ ゴビテカン10mg/kg単剤を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として臨床ベネフィット率(CBR)、奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性を検証した多施設共同オープンラベルの試験。今回発表されたコホート2は、免疫チェックポイント阻害剤治療後に病勢進行したシスプラチン不適格の症例を対象とした。
同コホートに登録された38人の患者背景は、年齢中央値が72.5歳、性別は男性が61%、臓器転移が66%(肝転移が29%)であった。また前治療歴は、術前療法もしくは術後療法でプラチナ系抗がん剤を受けた症例が50%であった。
追跡期間中央値9.3ヶ月時点における結果は、主要評価項目であるORRが32%(95%信頼区間:17.5%-48.7%)であった。副次評価項目であるCBRは42%(95%信頼区間:26.3%-59.2%)、DOR中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:2.8-13.3ヶ月)、PFS中央値は5.6ヶ月(95%信頼区間:4.1-18.3ヶ月)、また全生存期間(OS)中央値は13.5ヶ月(95%信頼区間:7.6-15.6ヶ月)を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は87%を示し、最も多くの患者で確認されたTRAEは好中球減少が34%、貧血が24%、白血球減少が19%、疲労が18%、下痢が16%であった。
以上のTROPHY-U-01試験のコホート2の結果よりDaniel P. Petrylak氏らは「免疫チェックポイント阻害剤治療後に病勢進行したシスプラチン不適格の転移性尿路上皮がんに対するサシツズマブ ゴビテカン単剤療法は、比較的高い奏効率と管理可能な安全性シグナルを示し、サシツズマブ ゴビテカン単剤療法の今後の更なる検討の妥当性を示しました」と結論付けた。
参照元:・Trop-2を標的とした抗体薬物複合体サシツズマブ ゴビテカンの有効性・安全性を検討
・有望な奏効率と管理可能な安全性プロファイルを示す
TROPHY-U-01 Cohort 2: A Phase II Study of Sacituzumab Govitecan in Cisplatin-Ineligible Patients With Metastatic Urothelial Cancer Progressing After Previous Checkpoint Inhibitor Therapy(Journal of Clinical Oncology 2024 doi:10.1200/JCO.23.01720)