この記事の3つのポイント
・進行/再発子宮体がんを対象とした第3相のAtTEnd試験
・初回治療としてのテセントリク+化学療法併用の有効性・安全性を検討
・併用療法により、化学療法と比較して無増悪生存期間を有意に改善
2024年8月2日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、進行/再発子宮体がんに対する初回治療としての抗PD-L1抗体薬テセントリク(一般名:アテゾリズマブ)+化学療法の効果を検証した第3相のAtTEnd試験(NCT03603184)の結果がUniversity of Milan-BicoccaのNicoletta Colombo氏らにより公表された。
AtTEnd試験は、未治療の進行/再発子宮体がん患者(N=551人)に対する初回治療として、21日を1サイクルとして1日目にカルボプラチン5/6AUC+パクリタキセル175mg/m2+テセントリク1200mg併用療法を実施する群(N=362人)、もしくはカルボプラチン5/6AUC+パクリタキセル175mg/m2+プラセボ併用療法を実施する群(N=189人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてミスマッチ修復欠損(dMMR)および全体集団(ITT)における無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を比較検証した多施設共同二重盲検ランダム化試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるdMMR集団におけるPFSは、テセントリク併用群の未到達(95%信頼区間:12.5ヶ月-未到達)に対して化学療法群で6.9ヶ月(95%信頼区間:6.3-10.1ヶ月)、テセントリクを併用することで病勢進行または死亡のリスクを64%減少(HR:0.36,95%信頼区間:0.23-0.57,P=0.0005)した。
ITT集団におけるPFSは、テセントリク併用群の10.1ヶ月(95%信頼区間:9.5ヶ月-12.3ヶ月)に対して化学療法群で8.9ヶ月(95%信頼区間:8.1-9.6ヶ月)、テセントリクを併用することで病勢進行または死亡のリスクを26%減少(HR:0.74,95%信頼区間:0.61-0.91,P=0.022)した。
もう1つの主要評価項目であるITT集団におけるOSは、テセントリク併用群の38.7ヶ月(95%信頼区間:30.6ヶ月-未到達)に対して化学療法群で30.2ヶ月(95%信頼区間:25.0ヶ月-37.2ヶ月)、テセントリクを併用することで死亡のリスクを18%減少(HR:0.82,95%信頼区間:0.63-1.07,P=0.048)した。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)は、好中球減少症がテセントリク併用群で27%(N=97/356人)に対して化学療法群で28%(N=51/185人)、貧血がテセントリク併用群で14%(N=49/356人)に対して化学療法群で13%(N=24/185人)、重篤な治療関連有害事象(TRAE)発症率はテセントリク併用群で13%に対して化学療法群で3%を示した。
以上のAtTEnd試験の結果よりNicoletta Colombo氏らは「進行/再発子宮体がん患者に対する初回治療としてのパクリタキセル+カルボプラチン併用療法へのテセントリク上乗せは、PFSを改善し、特にdMMR集団に対する効果は良好でした」と結論付けた。
参照元:・初回治療としてのテセントリク+化学療法併用の有効性・安全性を検討
・併用療法により、化学療法と比較して無増悪生存期間を有意に改善
Atezolizumab and chemotherapy for advanced or recurrent endometrial cancer (AtTEnd): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial(The Lancet Oncology 2024 DOI:10.1016/S1470-2045(24)00334-6)