この記事の3つのポイント
・抗PD-1/PD-L1抗体薬抵抗性の進行悪性黒色腫を対象とした第1/2相のKEYMAKER-U02A試験
・ペムブロリズマブに対する各治療薬の併用療法の有効性・安全性を比較検討
・今回検討された3種類の併用療法は、いずれも抗腫瘍効果の基準を満たさず
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、抗PD-1/PD-L1抗体薬抵抗性のある進行性悪性黒色腫(メラノーマ)に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)+抗CTLA-4抗体薬Quavonlimab+抗TIGIT抗体薬Vibostolimab併用療法、キイトルーダ+Quavonlimab+マルチキナーゼ阻害薬レンビマ(一般名:レンバチニブ)、キイトルーダ+オールトランス型レチノイン酸(ATRA)併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のKEYMAKER-U02A試験(NCT04305041)の結果がUniversity Hospital ZurichのReinhard Dummer氏らにより公表された。
KEYMAKER-U02A試験は、抗PD-1/PD-L1抗体薬抵抗性のある進行性悪性黒色腫患者に対して、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+6週を1サイクルとしてQuavonlimab 25mg+3週を1サイクルとしてvibostolimab 200mg併用療法を実施する群(arm 1,N=40人)、6週を1サイクルとしてキイトルーダ 400mg+6週を1サイクルとしてQuavonlimab 25mg+1日1回レンビマ 20mg併用療法を実施する群(arm 2,N=40人)、6週を1サイクルとしてキイトルーダ 400mg+ATRA 150mg/m2併用療法を実施する群(arm 3,N=20人)に分け、主要評価項目として安全性、盲検独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による奏効持続期間(DOR)を検証した試験である。なおそれぞれの併用療法は、最大2年間もしくは予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与を続けた。
本試験の結果、主要評価項目であるORRはarm 1で18%(N=7人)、arm 2で28%(N=11人)、arm 3で0%(N=0人)を示した。副次評価項目であるDORの中央値はarm 1で9.8ヶ月(1-19.4ヶ月)、arm 2で10.4ヶ月(2.3-17.3ヶ月)を示した。
無増悪生存期間(PFS)の中央値は、arm 1で2.1ヶ月(2.1-3.7ヶ月)、arm 2で6.2ヶ月(4.2-8.3ヶ月)、arm 3で2.1ヶ月(1.9-2.1ヶ月)を示した。全生存期間(OS)の中央値は、arm 1で未到達(12.1ヶ月-未到達)、arm 2で17.9ヶ月(14.5-21.4ヶ月)、arm 3で未到達(未到達)を示した。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は、arm 1で88%(N=35人)、arm 2で95%(N=38人)、arm 3で75%(N=15人)、グレード3-5のTRAE発症率は、arm 1で28%(N=11人)、arm 2で58%(N=23人)、arm 3で15%(N=3人)を示した。
以上のK結果よりReinhard Dummer氏らは、「抗PD-1/PD-L1抗体薬抵抗性のある進行性悪性黒色腫患者に対して今回検討された併用療法は、事前に規定された基準を満たさず、追加の検討が実施される予定です」と結論付けた。
参照元:・ペムブロリズマブに対する各治療薬の併用療法の有効性・安全性を比較検討
・今回検討された3種類の併用療法は、いずれも抗腫瘍効果の基準を満たさず
Triplet combination treatments with pembrolizumab (pembro) for anti–PD-(L)1–refractory advanced melanoma: Preliminary results of the phase 1/2 KEYMAKER-U02A study.(ASCO 2024)