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HER2陽性進行・再発乳がんに対するハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン併用、標準療法となり得る有望な結果を示す

[公開日] 2024.06.18[最終更新日] 2024.06.18

この記事の3つのポイント ・HER2陽性進行・再発乳がんを対象とした第3相のEMERALD試験
・ハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン併用療法とハーセプチン+パージェタ+タキサン系抗がん剤併用療法の有効性・安全性を比較検討
・ハラヴェン併用はタキサン系抗がん剤併用と同等の効果を示す
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、HER2陽性進行・再発乳がんに対するハーセプチン(一般名:トラスツズマブ)+パージェタ(一般名:ペルツズマブ)+タキサン系抗がん剤併用療法とハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン(一般名:エリブリン)併用療法を比較検証する第3相のEMERALD試験(UMIN000027938, NCT03264547)の結果が神奈川県立がんセンターの山下 年成氏らにより公表された。 本試験は、HER2陽性進行・再発乳がん患者に対してハーセプチン+パージェタ+タキサン系抗がん剤(ドセタキセルもしくはパクリタキセル)併用療法を実施する群、ハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン併用療法を実施する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、安全性を検証した第3相試験である。 本試験に登録された446人の患者背景は、年齢中央値が56.0歳(29-70歳)、エストロゲン受容体陽性率が54.7%(N=244人)、臓器転移率が63.9%(N=285人)、de novoがんIV期が55.4%(N=247人)であり、両群間の患者背景に大きな偏りはなかった。 主要評価項目であるPFSの中央値は、タキサン系抗がん剤併用群の12.9ヶ月に対してハラヴェン併用群で14.0ヶ月と、ハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン併用群の非劣性が証明された(HR:0.96,95%信頼区間:0.77-1.20)。 一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、発熱性好中球減少症がタキサン系抗がん剤併用群の8.7%に対してハラヴェン併用群で4.9%、浮腫は42.2%対8.5%、下痢は54.1%対36.6%をそれぞれ示した。 以上のEMERALD試験の結果より山下 年成氏らは、「HER2陽性進行・再発乳がんに対するハーセプチン+パージェタ+ハラヴェン併用療法は、ハーセプチン+パージェタ+タキサン系抗がん剤併用療法に対してPFSの非劣性を示した最初の試験です。本治療は抗腫瘍効果は良好で、忍容性も高いことから、標準治療になり得る可能性が示唆されました」と結論付けた。 参照元:
Trastuzumab and pertuzumab in combination with eribulin mesylate or a taxane as first-line chemotherapeutic treatment for HER2-positive, locally advanced or metastatic breast cancer: Results of a multicenter, randomized, non-inferiority phase 3 trial in Japan (JBCRG-M06/EMERALD).(ASCO 2024)
ニュース 乳がん ハラヴェン

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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