この記事の3つのポイント
・術後内分泌療法抵抗性のPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行転移乳がんを対象とした第3相のINAVO120試験
・Inavolisib+イブランス+フェソロデックス併用療法の有効性・安全性を比較検討
・持続的な効果と管理可能な安全性シグナルを示す
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、術後内分泌療法抵抗性のPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行転移乳がんに対するPI3Kα阻害薬であるInavolisib+イブランス(一般名:パルボシクリブ)+フェソロデックス(一般名:フルベストラント)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のINAVO120試験(NCT04191499)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer CenterのDejan Juric氏らにより公表された。
INAVO120試験は、術後内分泌療開始から12ヶ月以内に再発したPIK3CA遺伝子変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行転移乳がん患者に対して、Inavolisib+イブランス+フェソロデックス併用療法を実施する群(N=161人)、プラセボ+イブランス+フェソロデックス併用療法を実施する群(N=164人)に無作為に振り分け、評価項目として無作為化より次の治療開始までの期間(PFS2)、無作為化より次の化学療法開始までの期間(TTFC)、安全性等を検証した第3相試験である。
本試験の結果、PFS2の中央値は3剤併用群の24.0ヶ月(95%信頼区間:18.6ヶ月-未到達)に対してプラセボ併用群で15.1ヶ月(95%信頼区間:13.5–22.3ヶ月)を示した(HR:0.59,95%信頼区間:0.42–0.83)。
TTFCの中央値は、3剤併用群の未到達(95%信頼区間:24.8ヶ月-未到達)に対してプラセボ併用群で15.0ヶ月(95%信頼区間:10.6–24.8ヶ月)を示した(HR:0.53,95%信頼区間:0.37–0.78)。
安全性に関して、高血糖はInavolisib群で全グレードが59%、グレード1/2が53%、グレード3が6%であったのに対して、プラセボ群で全グレードが9%、グレード1/2が9%、グレード3が0%を示した。下痢は、Inavolisib群で全グレードが48%、グレード1/2が44%、グレード3が4%であったのに対して、プラセボ群で全グレードが16%、グレード1/2が16%、グレード3が0%を示した。皮膚障害は、Inavolisib群で全グレードが25%、グレード1/2が25%であったのに対して、プラセボ群で全グレードが17%、グレード1/2が17%を示した。口内炎は、Inavolisib群で全グレードが51%、グレード1/2が46%、グレード3が6%であったのに対して、プラセボ群で全グレードが27%、グレード1/2が27%、グレード3が0%を示した。
以上のINAVO120試験の結果よりDejan Juric氏らは、「術後内分泌療法抵抗性のPIK3CA変異陽性ホルモン受容体陽性HER2陰性局所進行転移乳がんに対するInavolisib+イブランス+フェソロデックス併用療法は、持続的な有効性により次の化学療法までの期間を延ばすことができ、安全性プロファイルも管理可能な内容でした」と結論付けた。
参照元:・Inavolisib+イブランス+フェソロデックス併用療法の有効性・安全性を比較検討
・持続的な効果と管理可能な安全性シグナルを示す
NFirst-line inavolisib/placebo + palbociclib + fulvestrant (Inavo/Pbo+Palbo+Fulv) in patients (pts) with PIK3CA-mutated, hormone receptor-positive, HER2‑negative locally advanced/metastatic breast cancer who relapsed during/within 12 months (mo) of adjuvant endocrine therapy completion: INAVO120 Phase III randomized trial additional analyses.(ASCO 2024)