この記事の3つのポイント
・局所進行または転移性固形がんを対象とした第2相EV-202試験の乳がんコホート
・抗ネクチン4抗体薬物複合体であるパドセブ療法の有効性・安全性を検討
・有効性、安全性ともに有望な結果を示す
2024年5月31日から6月4日、米国・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会2024(ASCO 2024)にて、局所進行または転移性固形がんに対する抗ネクチン4抗体薬物複合体であるパドセブ(一般名:エンホルツマブ ベドチン)療法の有効性、安全性を検証した第2相のEV-202試験(NCT04225117)における乳がんコホートの結果がDana-Farber Cancer InstituteのAntonio Giordano氏らにより公表された。
EV-202試験試験は、局所進行または転移性固形がん患者に対して、28日を1サイクルとして1、8、15日目にパドセブ1.25mg/kgを、病勢進行もしくは予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証する第2相試験である。
トリプルネガティブ乳がんコホートでは、2023年3月3日時点で42人の女性患者が登録され、年齢の中央値は53歳、64%が転移性乳がんで2次治療以上の全身治療を受けており、33%が以前に抗TROP-2抗体薬物複合体サシツズマブゴビテカンの治療を受けていた。主要評価項目であるORRは19.0%、副次評価項目であるDCRは57.1%、PFS中央値は3.5ヶ月(95%信頼区間:2.1-4.6ヶ月)、OS中央値は12.9ヶ月(95%信頼区間:10.3ヶ月-未到達)を示した。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球数減少(n=3、7%)、白血球数減少(n=2、5%)、およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(n=2、5%)であった。その他、皮膚反応(n=25、60%)、末梢神経障害(n=11、26%)、および高血糖(n=2、5%)であった。
ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんコホートでは、2022年12月3日時点で45人の女性患者が登録され、年齢中央値は57.0歳で、73%は転移性乳がんに対して3次治療以上の全身治療を受けていた。主要評価項目であるORRは15.6%、DCRは51.1%、PFS中央値は5.4ヶ月(95%信頼区間:3.4-5.7ヶ月)、OS中央値は19.8ヶ月(95%信頼区間:12.8ヶ月-未到達)を示した。グレード3以上のTRAEは、斑状丘疹(n=7、16%)、掻痒およびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ上昇(ともにn=3、7%)、および腹痛、紅斑(ともにn=2、4%)であった。その他、皮膚反応(n=28、62%)、末梢神経障害(n=12、27%)、および高血糖(n=5、11%)が認められた。
以上のEV-202試験における乳がんコホートの結果よりAntonio Giordano氏らは、「局所進行性または転移性トリプルネガティブ乳がん、ホルモン受容体陽性HER2陰性乳がんに対するパドセブ療法は良好な抗腫瘍効果を示し、安全性も管理可能な内容でした」と結論付けた。
参照元:・抗ネクチン4抗体薬物複合体であるパドセブ療法の有効性・安全性を検討
・有効性、安全性ともに有望な結果を示す
Enfortumab vedotin (EV) in triple-negative breast cancer (TNBC) and HR+/HER2- breast cancer (BC) cohorts of EV-202.(ASCO 2024)