転移性大腸がんに対する維持療法としてのフルキンチニブ+カペシタビン併用療法、無増悪生存期間を有意に改善ASCO GI 2024より


  • [公開日]2024.02.15
  • [最終更新日]2024.02.13
この記事の3つのポイント
転移性大腸がんが対象の第1/2相試験
維持療法としてのVEGFR1/2/3選択的経口阻害薬フルキンチニブ+カペシタビン併用の有効性安全性を検証
・併用により無増悪生存期間を有意に改善

2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、転移性大腸がんに対する維持療法としてのVEGFR1/2/3選択的経口阻害薬フルキンチニブ+カペシタビン併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相試験(NCT05451719)の結果がFudan University Shanghai Cancer CenterのWenhua Li氏らにより公表された。

本試験は、初回治療後に病勢コントロール(CR、PR、SD)が確認された転移性大腸がんに対する維持療法として、4週を1サイクルとして1日1回フルキンチニブ(第1相では4mg、第2相では3mg)を3週投与し1週間休薬+1~7日と15~21日目に1日2回カペシタビン(850mg/m2)を投与する併用群、もしくは4週を1サイクルとして1~7日と15~21日目に1日2回カペシタビン(850mg/m2)を投与する単剤群に分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した試験である。

本試験に登録された26人の患者背景は、年齢中央値がフルキンチニブ+カペシタビン併用群で61.5歳(39-78歳)、カペシタビン単剤群で57.5歳(32-75歳)、腫瘍部位は左側が併用群で64.3%、単剤群で66.7%、RAS遺伝子変異は併用群で50.0%、単剤群で58.3%であった。また前治療歴は、ベバシズマブ治療歴が併用群で57.1%、単剤群で58.3%、セツキシマブ治療歴が併用群で35.7%、単剤群で25.0%であった。

主要評価項目であるPFSの中央値は、フルキンチニブ+カペシタビン併用群の9.1ヶ月に対してカペシタビン単剤群で3.8ヶ月、併用群で病勢進行または死亡のリスクを71.1%(HR:0.289,95%信頼区間:0.083-1.01,P=0.039)改善した。客観的奏効率ORR)は併用群の21.4%に対して単剤群で0%、病勢コントロール率DCR)は併用群の92.9%に対して単剤群で66.7%を示した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は、フルキンチニブ+カペシタビン併用群で高血圧11.1%、口内炎5.6%、音声変調5.6%、小腸閉塞5.6%、皮膚炎5.6%、血中ビリルビン増加5.6%、カペシタビン単剤群で下痢6.3%、口腔粘膜炎6.3%、皮膚炎6.3%であった。

以上の結果よりWenhua Li氏らは「転移性大腸がんに対する維持療法としてのVEGFR1/2/3選択的経口阻害薬フルキンチニブ+カペシタビン併用療法は、カペシタビン単剤群に比べてPFSを5.3ヶ月延長し、同疾患に対する第一選択肢になり得る可能性が示唆されました」と述べた。

参照元:
Initial efficacy evaluation of fruquintinib plus capecitabine versus capecitabine as maintenance treatment for metastatic colorectal cancer (mCRC).(ASCO GI 2024)

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