この記事の3つのポイント
・ホルモン受容体(エストロゲン受容体)陽性HER2陰性の閉経後早期乳がんが対象の第3相試験
・術前化学療法としてのフルベストラント単剤療法、アナストロゾール+フルベストラント併用療法の有効性・安全性を、アナストロゾール単剤療法と比較検証
・いずれもアナストロゾール単剤療法と比較して優位性を示せず
2024年01月18日医学誌『JAMA Oncology』にて、ホルモン受容体陽性HER2陰性の閉経後乳がんに対する術前化学療法としてのアロマターゼ阻害剤であるアナストロゾール(製品名:アリミデックス)単剤療法、フルベストラント(製品名:フェソロデックス)単剤療法、アナストロゾール+フルベストラント併用療法の有効性、安全性を検証した第3相試験(NCT01953588)の結果がWashington University School of MedicineのCynthia X. Ma氏らにより公表された。
本試験は、エストロゲン受容体陽性/HER2陰性の閉経乳がんに対する術前化学療法としてアリミデックス単剤療法、フェソロデックス単剤療法、アリミデックス+フェソロデックス併用療法をそれぞれ実施し、主要評価項目として内分泌感受性疾病率(ESDR)、副次評価項目として治療開始4週間後のKi67変化率を検証した試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるESDRは、アリミデックス単剤療法の18.7%(95%信頼区間:15.1%-22.7%)に対し、フェソロデックス単剤療法で22.8%(95%信頼区間:18.9%-27.1%)、併用療法で20.5%(95%信頼区間:16.8%-24.6%)であり、いずれもアリミデックス単剤療法と比較して統計学的有意な改善は示さなかった。
副次評価項目である治療開始4週間後のKi67変化率は、アリミデックス単剤療法の25.1%に対し、フェソロデックス単剤療法で24.2%、併用療法で15.7%を示した。
以上の結果よりCynthia X. Ma氏らは、「ホルモン受容体陽性HER2陰性の閉経後早期乳がんに対する術前化学療法としてのフェソロデックス単剤療法、アリミデックス+フェソロデックス併用療法は、アリミデックス単剤療法に比べてESDR、治療開始4週間後のKi67変化率を改善せず、アロマターゼ阻害薬が依然として標準治療である可能性が示唆されました」と結論付けた。
参照元:Endocrine-Sensitive Disease Rate in Postmenopausal Patients With Estrogen Receptor–Rich/ERBB2-Negative Breast Cancer Receiving Neoadjuvant Anastrozole, Fulvestrant, or Their Combinations(JAMA Oncol 2024, doi:10.1001/jamaoncol.2023.6038)