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EGFR変異陽性非小細胞肺がんにおける日本の患者と医師の治療選択の傾向調査

[公開日] 2024.01.22[最終更新日] 2024.10.10

2024年1月9日、医学誌『Cancer Medicine』にて、日本のがん患者および治療医が経口剤または点滴静注剤を選択する際に影響を受ける薬剤の特性に関する調査結果が発表された。 同研究において被験者は、離散選択実験(Discrete Choice Experiment,DCE)によるオンライン調査に回答。具体的には、投与頻度、全奏効率(ORR)、平均無増悪生存期間(PFS)、軽度~中等度の消化器系副作用が発現する可能性、軽度~中等度の皮膚関連副作用が発現する可能性、重篤な副作用が発現する可能性、1年間の患者自己負担費用、という一連の属性に関する仮想的なシナリオが用意され、各シナリオにおいて経口治療と静脈内治療のどちらかを選択するというものである。 2021年12月から2022年8月までに、54人の患者(全員自己申告のEGFR変異陽性肺がん)と74人の治療医が参加した。すべての属性が経口治療と静脈内治療で同等であった場合には、経口治療が選ばれる確率が高かった。一方で、静脈投与の方がORRとPFSの改善や重度の有害事象の軽減が期待される場合には、静脈投与を選択する傾向が高まった。これは、医師も患者も、投与方法に関わらずより効果的で安全な薬剤を好むことを示している。 また、すべての属性の中で最も重要視されたものは、上位から「平均PFS」、「ORR」、および「重篤な副作用(特に消化器系の副作用)の可能性」であり、これは患者と医師に共通していたが、医師は患者よりも平均PFSを重視する傾向が強いことが明らかとなった。これは、疾患の治療を最優先に考える医師と、その他の全ての属性も考慮に入れて考える患者との視点の違いであり、今回の結果は相互理解の向上に役立つ可能性がある。 以上の研究から著者らは、「EGFR変異陽性NSCLC治療において重要視される属性の優先順位は患者と医師で一致していることが明らかになったが、医師は患者よりもPFSをより重視した。調査結果は、現在開発中の治療を含む新規EGFR肺がん治療において、患者と医師がどのような属性を重視しているか、また意思決定を共有することの重要性を明らかにしている」と結論付けた。 参照元:
Treatment preferences among Japanese patients and physicians for epidermal growth factor receptor-mutant non-small cell lung cancer (Cancer Medicine 2024 DOI:https://doi.org/10.1002/cam4.6777)
ニュース 肺がん 調査非小細胞肺がん

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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