国立がん研究センターは1月11日、大腸内視鏡検査を受ける大腸がん検診受診者を対象に、人工知能によるコンピュータ検出支援(CADe)を用いた大腸内視鏡検査の有効性を評価する多施設共同臨床試験(試験名:Project CAD)を、日本を含むアジアの13施設で実施することを発表した。
大腸がんにおいては、内視鏡検査時に前がん病変(ポリープ)や早期がんを見逃さないことが重要であるが、肉眼での認識が困難な病変や解剖学的死角、医師の技術差などが原因で見逃しが生じることが課題となっている。そこで、人工知能(AI)を活用することにより、前がん病変やがんを検査時にリアルタイムで検出し、大腸内視鏡検査の精度の向上に寄与する可能性が期待される。
具体的な方法としては、大腸がん検診における大腸内視鏡検査において、CADeを使用する検査法が、CADeを用いない通常の検査法よりも、病変を発見する割合が高いかどうかをランダム化比較試験により検証する。試験に用いるCADeは、通常の診療で使用される内視鏡装置・スコープから得られた画像に、病変の存在を示す印を内視鏡モニター上に表示することで医師の診断を補助するため、特殊な内視鏡を使用する必要はない。
(画像はリリースより)
同試験は、アジアの13施設において大腸内視鏡検査(便潜血検診、内視鏡検診両方を含む)を受ける受診者1,400人を対象に実施予定であり、日本における参加施設は、国立がん研究センター中央病院、国立がん研究センター東病院、東京慈恵会医科大学附属病院、東邦大学医療センター大森病院の4施設である。また、国立がん研究センター中央病院がアジア地域での臨床研究・治験実施体制整備を目的として2020年から開始している「アジアがん臨床試験ネットワーク事業(Asian Clinical Trials Network for Cancers Project: ATLAS project) 」とも連動し、アジア地域で国際共同試験を実施する体制構築と新規検査法の開発にも取り組んでいくという。
同試験を通して大腸内視鏡検査におけるCADeの有効性が示されることで、アジアの大腸がん検診における大腸内視鏡検査の質の向上や均てん化につながり、大腸がん検診そのものの質の向上にもつながることが期待されている。
参照元:
国立がん研究センター プレスリリース
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