この記事の3つのポイント
・再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫が対象の第1/2相のEPCORE NHL-5試験
・CD3とCD20を標的とする二重特異性抗体エプキンリ+レナリドミド用療法の有効性・安全性を検証
・安全性、有効性ともに良好な結果を示す
2023年12月09日~2023年12月12日、米国サンディエゴにて開催された第65回米国血液学会議(ASH 2023)にて再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(RRDLBCL)に対するCD3及びCD20に結合するヒト化二重特異性モノクローナル抗体であるエプキンリ(一般名:エプコリタマブ)+レナリドミド併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のEPCORE NHL-5試験(NCT05283720)のArm1の結果がTel Aviv UniversityのIrit Avivi Mazza氏らにより公表された。
EPCORE NHL-5試験は、RRDLBCLに対して28日を1サイクルとして1~3サイクル目は週1回、4~12サイクル目は4週に1回エプキンリ+1~21日目に1日1回のレナリドミド併用療法を12サイクル投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、安全性などを検証した多施設共同非ランダム化の第1/2相試験である。
本試験に登録された26人の患者背景は、年齢中央値が71歳、前治療歴中央値は1レジメン(1~4レジメン)、前治療歴の種類はCAR-T療法歴が6人、造血幹細胞移植歴が2人、また治療期間中央値はエプキンリ3.8ヶ月(0~7.5ヶ月)、レナリドミド4.0ヶ月(0.1~8.2ヶ月)であった。
本試験の結果、主要評価項目であるDLTは1人の患者で確認され、その内容は好中球減少症であった。最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は好中球減少症が58%(N=15人)、貧血が15%(N=4人)、血小板減少症が15%(N=4人)、発熱性好中球減少症(FN)が12%(N=3人)であった。
エプキンリに関連した有害事象(AE)による治療中止率は血小板減少症が3.8%(N=1人)であり、死亡は認められなかった。サイトカイン放出症候群(CRS)発症率は73%(N=19/26人)、グレード1もしくは2が65%、グレード3が8%であった。
副次評価項目であるORRは75%(N=18人,95%信頼区間:53.3%-90.2%)であり、完全奏効は5%(N=14人)、部分奏効率(PR)は17%(N=4人)を示した。初回奏効期間中央値(Time to Response)は1.8ヶ月(1.0~2.8ヶ月)を示した。
以上のEPCORE NHL-5試験の結果よりIrit Avivi Mazza氏らは「RRDLBCLに対するエプキンリ+レナリドミド併用療法は良好な抗腫瘍効果を示し、忍容性も問題ありませんでした」と結論付けた。
参照元:438 Subcutaneous Epcoritamab Plus Lenalidomide in Patients with Relapsed/Refractory Diffuse Large B-Cell Lymphoma from EPCORE NHL-5(ASH 2023)