この記事の3つのポイント
・未治療の進展型小細胞肺がんが対象の第3相SKYSCRAPER-02試験
・テセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用療法に対するチラゴルマブ上乗せの有効性・安全性を検証
・Dチラゴルマブ上乗せによる無増悪生存期間、全生存期間の改善は認められず
2023年11月17日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて未治療の進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)+カルボプラチン+エトポシド併用療法に対する抗TIGIT抗体薬であるチラゴルマブの上乗せ効果を比較検証した第3相のSKYSCRAPER-02試験の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのCharles M. Rudin氏らにより公表された。
SKYSCRAPER-02試験は、ES-SCLC患者(N=490人)に対してテセントリク+カルボプラチン+エトポシド+チラゴルマブ併用療法を4サイクル実施し、その後テセントリク+チラゴルマブ併用療法を実施するチラゴルマブ群(N=243人)、もしくはテセントリク+カルボプラチン+エトポシド+プラセボ併用療法を4サイクル実施し、その後テセントリク+プラセボ併用療法を実施するプラセボ群(N=247人)に無作為に振り分け、主要評価項目として主治医評価の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目であるPFSの中央値はチラゴルマブ群の5.4ヶ月に対してプラセボ群で5.6ヶ月と、チラゴルマブ群で病勢進行または死亡のリスクが11%増加(HR:1.11,P=0.3504)し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
もう1つの主要評価項目であるOSの中央値は、チラゴルマブ群の13.1ヶ月に対してプラセボ群で13.1ヶ月と、チラゴルマブ群で死亡のリスクが14%増加(HR:1.14,P=0.2859)し、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、免疫関連有害事象(irAE)発症率はチラゴルマブ群の54.4%に対してプラセボ群で49.2%、有害事象(TRAE)による治療中止率はチラゴルマブ群の8.4%に対してプラセボ群で9.3%を示した。
以上のSKYSCRAPER-02試験の結果よりCharles M. Rudin氏らは「未治療のES-SCLC患者に対するテセントリク+カルボプラチン+エトポシド併用療法に対するチラゴルマブの上乗せのベネフィットは得られませんでした」と結論付けている。
参照元:SKYSCRAPER-02: Tiragolumab in Combination With Atezolizumab Plus Chemotherapy in Untreated Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer(Journal of Clinical Oncology 2023. DOI:10.1200/JCO.23.01363)