治療歴のあるHER2陽性局所進行/転移性尿路上皮がんに対するDisitamab vedotin、良好な抗腫瘍効果を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2023.12.01
  • [最終更新日]2023.11.29
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるHER2陽性局所進行/転移性尿路上皮がんが対象の第2相試験
抗体薬物複合体であるDisitamab vedotinの有効性安全性を検証
・Disitamab vedotinは管理可能な安全性シグナルと共に、良好な抗腫瘍効果を示す

2023年11月21日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、1レジメン以上の全身療法後に病勢進行したHER2陽性局所進行/転移性尿路上皮がんに対するヒト化抗ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)抗体とモノメチルアウリスタチンEから成る抗体薬物複合体Disitamab vedotin療法の有効性、安全性を検証した第2相試験の結果がPeking University Cancer Hospital InstituteのXinan Sheng氏らにより公表された。

本試験は、少なくとも1レジメンの全身療法後に病勢進行したHER2陽性局所進行/転移性尿路上皮がんに対して、2週を1サイクルとしてDisitamab vedotin 2mg/kg療法を実施し、主要評価項目として独立盲検評価機関(BIRC)測定による客観的奏効率ORR)、その他評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)、安全性を検証したオープンラベル多施設共同シングルアームの第2相試験である。

本試験の結果、主要評価項目であるORRは50.5%(95%信頼区間:40.6%-60.3%)を示し、この抗腫瘍効果は肝転移のある患者、PD-L1前治療歴のある患者でも同様の結果が確認されている。奏効持続期間(DOR中央値は7.3ヶ月(95%信頼区間:5.7-10.8ヶ月)を示した。

その他評価項目であるPFSの中央値は5.9ヶ月(95%信頼区間:4.3-7.2ヶ月)、OSの中央値は14.2ヶ月(95%信頼区間:9.7-18.8ヶ月)を示した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は、末梢性感覚ニューロパチーが68.2%、白血球減少が50.5%、AST上昇が42.1%、好中球減少が42.1%であった。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は54.2%を示し、その内訳は末梢感覚神経障害が18.7%、好中球減少が12.1%であった。

以上の第2相試験の結果よりXinan Sheng氏らは「治療歴のあるHER2陽性局所進行/転移性尿路上皮がんに対するDisitamab vedotin療法は、臨床効果の期待できる抗腫瘍効果を示し、安全性も管理可能な内容でした」と述べている。

参照元:
Efficacy and Safety of Disitamab Vedotin in Patients With Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Positive Locally Advanced or Metastatic Urothelial Carcinoma: A Combined Analysis of Two Phase II Clinical Trials(Journal of Clinical Oncology 2023. DOI: 10.1200/JCO.22.02912 )

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