RET融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんに対するセルペルカチニブ単剤療法、抗PD-1抗体+化学療法より無増悪生存期間を有意に延長ESMO2023より


  • [公開日]2023.11.02
  • [最終更新日]2023.11.02
この記事の3つのポイント
・RET融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんを対象とした第3相のLIBRETTO-431試験
・初回治療としてのRET受容体型チロシンキナーゼ阻害薬であるセルペルカチニブ有効性安全性を検証
・抗PD-1抗体+化学療法より無増悪生存期間を有意に延長

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されたESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて、RET融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんに対するRET受容体型チロシンキナーゼ阻害薬であるセルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のLIBRETTO-431試験の結果がHerbert Ho Fung Loong氏らにより公表された。

LIBRETTO-431試験は、RET融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんに対してセルペルカチニブ単剤療法を実施する群、化学療法±ペムブロリズマブ併用療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値19ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPFSはセルペルカチニブ単剤群の24.8ヶ月に対して化学療法+ペムブロリズマブ併用群で11.1ヶ月と、セルペルカチニブ単剤群で病勢進行または死亡のリスクを53.5%(HR:0.465,95%信頼区間:0.309-0.6999,P<0.001)改善した。

また、頭蓋内転移のある患者群においても、セルペルカチニブは良好な頭蓋内奏効を示し、12カ月までの頭蓋内病変の増悪の蓄積発生率は、セルペルカチニブ単剤群で5.5%、化学療法+ペムブロリズマブ併用群で20.3%(HR:0.28)であった。

その他の評価項目であるORRDORに関しても同様にセルペルカチニブ単剤群で臨床的意義のある改善傾向が確認された。

一方の安全性として、セルペルカチニブ単剤群で確認された有害事象(AE)は既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認されたものはなかった。

今回の結果を受けてHerbert Ho Fung Loong氏は、「LIBRETTO-431は、バイオマーカーで選択された患者集団において、セルペルカチニブと免疫チェックポイント阻害剤+化学療法との比較で優れたPFSを証明した初めての無作為化試験です。これらのデータは、RET融合遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がんにおける診断時の包括的なゲノム検査とセルペルカチニブによる初回治療を支持するものです」と述べている。

参照元:
Loong HHF, et al. Randomized phase 3 study of first-line selpercatinib versus chemotherapy and pembrolizumab in RET fusion-positive NSCLC. ESMO Congress 2023, LBA4

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン