この記事の3つのポイント
・治療歴のない進行非小細胞肺がんを対象とした第1b相試験
・抗TROP2抗体薬物複合体ダトポタマブ デルクステカン+抗PD-L1抗体デュルバルマブ±プラチナ系抗がん剤の有効性・安全性を検証
・今後の開発につながる良好な抗腫瘍効果を示す
第一三共株式会社は、2023年9月9日10~12日にシンガポールで開催された世界肺癌学会(The IASLC 2023 World Conference on Lung Cancer: WCLC2023)の年次総会において、治療標的となる遺伝子変異陰性の進行非小細胞肺がんに対する初回治療としての抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)+抗PD-L1抗体デュルバルマブ(製品名:イミフィンジ)±プラチナ系抗がん剤による併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相のTROPION-Lung04試験(NCT04612751)の結果を発表した。
Dato-DXd+デュルバルマブ併用群(N=14人)では、客観的奏効率(ORR)は50.0%、病勢コントロール率(DCR)は92.9%を示した。また、Dato-DXd+デュルバルマブ+プラチナ系抗がん剤併用群(N=13人)では、ORRは76.9%、DCRは92.3%を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はDato-DXd+デュルバルマブ併用群で42.1%、Dato-DXd+デュルバルマブ+プラチナ系抗がん剤併用群で71.4%であった。薬剤関連性のある間質性肺疾患(ILD)は4人の患者で確認されたが、グレード5の症例は確認されなかった。
今回の結果を受けて、第一三共社はプレスリリースの中で、「当社とアストラゼネカは、Actionable遺伝子変異のない非小細胞肺がん治療に新たな選択肢を提供できるよう、本試験および現在進行中の第3相臨床試験(TROPION-Lung07およびTROPION-Lung08等)
を通じて、本剤と免疫チェックポイント阻害剤との併用療法の開発を加速させてまいります」とコメントした。
参照元:第一三共株式会社 プレスリリース