ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がんに対する術前療法としてのオプジーボ+化学療法、病理学的完全奏効率を有意に改善N Engl J Med より


  • [公開日]2023.08.18
  • [最終更新日]2023.08.21
この記事の3つのポイント
ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がんを対象とした第2相NADIM II試験
・術前療法としてのオプジーボ化学療法有効性安全性を比較検証
・術前オプジーボ+化学療法は、化学療法単独よりも病理学的完全奏効率を有意に改善

2023年08月10日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にてステージIIIA/IIIB非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術前療法としての抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名:オプジーボ)+プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT03838159,2018-004515-45)の結果がPuerta de Hierro UniversityのMariano Provencio氏らにより公表された。

本試験は、ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がんに対する術前療法としてニボルマブ+プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法を投与する群(N=57人)、もしくは化学療法単独療法を投与する群(N=29人)に無作為に振り分け、主要評価項目として病理学的完全奏効率(pCR;切除した肺、リンパ節腫瘍残存率0%として定義)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)を比較検証したオープンラベルの第2相試験である。

非小細胞肺がんとして診断される患者の約20%がステージIIIの進行状態で診断されるが、確立された治療方法は現在のところ存在しない。そのため、ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がんを対象として、術前療法としてのニボルマブ+プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目であるpCRはニボルマブ+化学療法群の37%に対して化学療法単独群で7%と、オプジーボ+化学療法群で高率であった(relative risk:5.34,95%信頼区間:1.34-21.23,P=0.02)。手術実施率はニボルマブ+化学療法群の93%に対して化学療法単独群で69%と、ニボルマブ+化学療法群で高率であった(relative risk:1.35,95%信頼区間:1.05-1.74)。

副次評価項目である24ヶ月PFSは、ニボルマブ+化学療法群の67.2%に対して化学療法単独群で40.9%と、ニボルマブ+化学療法群で病勢進行または死亡のリスクが53%(HR:0.47,95%信頼区間:0.25-0.88)減少した。24ヶ月OSはニボルマブ+化学療法群の85.0%に対して化学療法単独群で63.6%と、ニボルマブ+化学療法群で死亡のリスクが57%(HR:0.43,95%信頼区間:0.19-0.98)減少した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率は、プジーボ+化学療法群の19%に対して化学療法単独群で10%を示した。

以上の第2相試験の結果よりMariano Provencio氏らは、「ステージIIIA/IIIB非小細胞肺がん患者に対する術前療法としての抗PD-1抗体薬ニボルマブ+プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法は高率な病理学的完全奏効率(pCR)、無増悪生存率(PFS)、全生存率(OS)ともに改善しました」と結論を述べた。

Perioperative Nivolumab and Chemotherapy in Stage III Non–Small-Cell Lung Cancer (N Engl J Med 2023; 389:504-513 DOI: 10.1056/NEJMoa2215530)

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