この記事の3つのポイント
・切除可能III期の非小細胞肺がんを対象とした第3相試験
・周術期のトリパリマブ+化学療法後のトリパリマブ維持療法と化学療法単独療法の有効性と安全性の検証
・周術期化学療法にトリパリマブを追加することで、無イベント生存期間を有意に延長
2023年6月2日~6日、米国シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2023)にて、切除可能なIII期の非小細胞肺癌(NSCLC)患者に対する抗PD-1抗体薬であるトリパリマブ+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のNEOTORCH試験(NCT04158440)の結果がShanghai Chest HospitalのShun Lu氏らにより公表された。
NEOTORCH試験は、切除可能なIII期NSCLC(N=404人)に対する術前療法において、化学療法+トリパリマブ240mgまたはプラセボの併用を3週を1サイクルとして術前に3サイクルと術後に1サイクル、その後トリパリマブまたはプラセボの単剤を3週を1サイクルとして13サイクル実施する群にそれぞれ1対1(202例ずつ)無作為に振り分けた試験。主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、病理学的奏効率(major pathological response:MRP)、副次評価項目として全生存期間(OS)、病理学的完全奏効率(pathologic complete response:pCR)、安全性を比較検証した。
本試験のフォローアップ期間中央値18.3ヶ月時点における結果、主要評価項目であるEFSの中央値は化学療法+トリパリマブ群の未到達に対して化学療法+プラセボ群で15.1ヶ月と、化学療法+トリパリマブ群で死亡等のイベントリスクが60%(HR:0.40,95%信頼区間:0.277-0.565,P<0.0001)統計学的有意に改善した。
また、MPRは化学療法+トリパリマブ群の48.5%に対して化学療法+プラセボ群で8.4%、pCRは化学療法+トリパリマブ群の24.8%に対して化学療法+プラセボ群で1.0%を示した。一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は化学療法+トリパリマブ群の63.4%に対して化学療法+プラセボ群で54.0%、致死的な有害事象の発症率は化学療法+トリパリマブ群の0.5%に対して化学療法+プラセボ群で0%を示した。
以上のNEOTORCH試験の結果よりShun Lu氏らは「切除可能なIII期のNSCLC患者に対する周術期療法としての抗PD-1抗体薬であるトリパリマブ+化学療法の併用は、無イベント生存期間(EFS)を統計学的有意に改善しました」と結論付けた。
Perioperative toripalimab + platinum-doublet chemotherapy vs chemotherapy in resectable stage II/III non-small cell lung cancer (NSCLC): Interim event-free survival (EFS) analysis of the phase III NEOTORCH study.(ASCO 2023 Abst#8501)
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