FGFR阻害薬リトゴビ錠など3つの抗がん剤が承認へ厚労省薬食審医薬品第二部会にて


  • [公開日]2023.06.05
  • [最終更新日]2023.08.02

5月29日、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、審議項目として6製品の審議を行い、3製品が抗がん剤関連であった。

審議品目

オンキャスパー点滴静注用3750(一般名:ペグアスパルガーゼ)

効能・効果:急性リンパ性白血病(ALL)、悪性リンパ腫
申請企業:日本セルヴィエ

L-アスパラギナーゼ(L-ASP)は、血中のL-アスパラギンをアスパラギン酸とアンモニアに分解し、L-アスパラギンを枯渇させ、増殖においてL-アスパラギンを必須とする悪性腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。

日本におけるALL及び悪性リンパ腫の総患者数は、令和2年患者調査(厚生労働省)の報告では、それぞれ約7,000及び129,000人と推計されており、治療にはいずれもL-ASPを含めた多剤併用化学療法が使われている。

同剤は、大腸菌由来L-ASPをポリエチレングリコールで化学修飾(PEG化)した抗悪性腫瘍酵素製剤である。PEG化によって体内での半減期が延長し、薬効の長期持続が期待されている。

リトゴビ錠4mg(一般名:フチバチニブ)

効能・効果:がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん
申請企業:大鵬薬品

国立がん研究センターによると、日本における胆管・胆のうがん罹患数は1年あたり約2.2万人、死亡数約1.8万人であり、うち肝内胆管がんの割合は約10~15%と、希少がんの一つである。

同剤は、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)1-4のATP結合ポケットに選択的かつ不可逆的に結合し、FGFR媒介シグナル伝達経路を阻害する低分子化合物。そのため、胆管がんの一部に見られるFGFR2融合遺伝子から合成されたFGFR2融合タンパクのリン酸化を阻害し、腫瘍の増殖抑制および細胞死を誘導する。

フチバチニブは胆管がんの治療薬として、2018年5月にFDAの希少製品開発室よりオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を受けている。

キイトルーダ点滴静注100mg(一般名:ペムブロリズマブ)

効能・効果:再発又は難治性原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫(PMBCL)
申請企業:MSD

PMBCLは、希少な胸腺B細胞由来の悪性リンパ腫で、非ホジキンリンパ腫の2~4%、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の最大10%を占めている。若年成人に多く発症し、進行が速いがんである。

同剤は、PD-1に対するヒト化モノクローナル抗体であり、活性化T細胞上のPD-1に結合づることで、がん細胞上のPD-L1及びPD-L2との結合を阻害する。その結果、がん細胞により抑制されていたT細胞が再度がん抗原を認識した際に再活性化し、がん細胞を攻撃すると考えられている。

参照元:
厚生労働省 薬事・食品衛生審議会(薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会)

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