局所進行子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての化学放射線療法+アジュバント療法、5年全生存率を改善せずThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2023.05.02
  • [最終更新日]2023.05.01
この記事の3つのポイント
・局所進行子宮頸がん患者が対象の第3相試験
ファーストライン治療としての化学放射線療法+アジュバント療法の有効性安全性を化学放射線療法と比較検証
・5年全生存率(OS)は72%であり、化学放射線療法単独群(71%)に対して有意差を示せず

4月17日、医学誌『The Lancet Oncology』にて局所進行子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての化学放射線療法後のアジュバント療法の有効性、安全性を化学放射線療法単独と比較検証した第3相のOUTBACK試験(NCT01414608)の結果がPeter MacCallum Cancer CentreのLinda R Mileshkin氏らにより公表された。

OUTBACK試験は、局所進行子宮頸がん患者(N=926人)に対するファーストライン治療として放射線療法45.0-50.4Gyを投与中、1週を1サイクルとしてシスプラチン40mg/m2療法を5サイクル投与する群(化学放射線療法単独群、N=461人)、もしくはシスプラチンベースの化学放射線療法後、21日を1サイクルとして1日目にカルボプラチンAUC5+パクリタキセル155mg/m2併用療法を4サイクル投与する群(化学放射線療法+アジュバント療法併用群、N=465人)に無作為に振り分け、主要評価項目として5年全生存率(OS)、安全性などを比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、局所進行子宮頸がん患者に対するファーストライン治療の標準治療は化学放射線療法である。しかしながら、本治療を受けた多くの患者は再発し、転移進行などを経て死亡する。以上の背景より、局所進行子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての化学放射線療法後のアジュバント療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者の年齢中央値は46歳(範囲:37-55歳)、人種は白人72%、黒人もしくはアフリカ系アメリカ人13%、アジア人6%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

本試験のフォローアップ期間中央値60ヶ月時点における結果、主要評価項目である5年全生存率(OS)は化学放射線療法単独群71%(95%信頼区間:66-75%)に対して化学放射線療法+アジュバント療法併用群72%(95%信頼区間:67-76%)を示し、化学放射線療法単独群に比べて化学放射線療法+アジュバント療法併用群で死亡(OS)のリスクを10%減少(HR:0.90、95%信頼区間:0.70-1.17、P=0.81)した。

一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は好中球減少で化学放射線療法単独群8%に対して化学放射線療法+アジュバント療法併用群20%、貧血で8%に対して18%であった。重篤な有害事象(SAE)発症率は化学放射線療法単独群22%に対して化学放射線療法+アジュバント療法併用群30%を示し、主な重篤な有害事象(SAE)は感染症であった。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかった。

以上のOUTBACK試験の結果よりLinda R Mileshkin氏らは「局所進行子宮頸がん患者に対するファーストライン治療としての化学放射線療法後のアジュバント療法は、化学放射線療法単独に比べて有害事象(AE)が増加し、全生存期間(OS)を改善しなかった」と結論を述べている。

Adjuvant chemotherapy following chemoradiotherapy as primary treatment for locally advanced cervical cancer versus chemoradiotherapy alone (OUTBACK): an international, open-label, randomised, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2023 Apr 17;S1470-2045(23)00147-X. doi: 10.1016/S1470-2045(23)00147-X.)

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