・再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療オプジーボ+ヤーボイ併用療法の有効性・安全性をオプジーボ単剤療法と比較検証
・客観的奏効率はオプジーボ+ヤーボイ併用群13.2%に対してオプジーボ単剤群19.5%であり、統計学的有意差は示せず
4月6日、医学誌『JAMA Oncology』にて再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のCheckMate 714試験(NCT02823574)の最終解析の結果がThe Institute of Cancer Research National Institute for Health and Care Research Biomedical Research CentreのKevin J. Harrington氏らにより公表された。
CheckMate 714試験とは、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者(N=241人)に対して2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg+6週を1サイクルとしてヤーボイ1mg/kg併用療法を最大2年間もしくは病勢進行、予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=159人)、もしくは2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg単剤療法を最大2年間もしくは病勢進行、予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与する群(N=82人)に2対1の割合で振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した第2相試験である。
本試験が開始された背景として、プラチナ抵抗性のある再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としてオプジーボ、キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)などの免疫チェックポイント阻害薬の有用性が確認されている。
第3相のKEYNOTE-040試験(NCT02252042)では、再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としてのキイトルーダ+化学療法は、抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ+化学療法に比べて全生存期間(OS)を改善することが示されている。
(参考:Lancet. 2019 Jan 12;393(10167):156-167. doi: 10.1016/S0140-6736(18)31999-8.)
以上の背景より、プラチナ抵抗性のある再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はオプジーボ+ヤーボイ併用群13.2%(95%信頼区間:8.4-19.5%)に対してオプジーボ単剤群19.5%(95%信頼区間:11.6-29.7%)であり(OR:0.68、95.5%信頼区間:0.33-1.43、P=0.29)、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。奏効持続期間(DOR)中央値はオプジーボ+オプジーボ併用群未到達(95%信頼区間:11.0ヶ月-未到達)に対してオプジーボ+プラセボ併用群11.1ヶ月(95%信頼区間:4.1ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群15.8%に対してオプジーボ+オプジーボ併用群14.6%であった。
以上の第2相のCheckMate 714試験の結果より、Kevin J. Harrington氏らは「再発/転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ併用療法は、オプジーボ単剤療法と比較し客観的奏効率の改善を認めませんでした。今後オプジーボ単剤療法よりもオプジーボ+ヤーボイ併用療法が恩恵をもたらすサブグループを特定する必要があります」と結論を述べている。