3月29日~4月1日、デンマーク・コペンハーゲンで開催された欧州肺がん学会議(European Lung Cancer Congress 2023)にて治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対する抗EGFR/MET二重特異性抗体であるamivantamab(アミバンタマブ)+化学療法併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のPAPILLON試験(NCT04538664)の結果が公表された。
PAPILLON試験は、治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がん(N=114人)に対してアミバンタマブ+化学療法併用療法を実施する群、もしくは化学療法単独療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)などを比較検証した第3相試験である。
本試験が開始された背景として、EGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんは既存のEGFRチロシンキナーゼ阻害薬に対して抵抗性を示す。抗EGFR/MET二重特異性抗体であるアミバンタマブはEGFR、METそれぞれの受容体の細胞外ドメインに結合し、チロシンキナーゼ阻害剤の結合部位での抵抗性を回避する可能性が示唆されている。以上の背景より、治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対する抗EGFR/MET二重特異性抗体であるアミバンタマブ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値19.2ヶ月時点における結果、全生存期間(OS)中央値は23ヶ月(95%信頼区間:18.5-29.5ヶ月)、客観的奏効率(ORR)は37%(95%信頼区間:28-46%)、奏効持続期間(DOR)中央値は12.5ヶ月(95%信頼区間:6.9–19.3ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)中央値は6.9ヶ月(95%信頼区間:5.6–8.8ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は皮膚障害が89%、インフュージョンリアクションが67%であった。
また、サブグループ解析の結果、前治療歴別の客観的奏効率(ORR)は免疫チェックポイント阻害薬歴のある患者群で42.0%、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬歴のある患者群で52.2%、プラチナ系抗がん剤歴のある患者群で36.2%を示した。
以上の第3相PAPILLON試験の結果より、National University Cancer Institute SingaporeのRoss Soo氏は「治療歴のあるEGFRエクソン20挿入変異を有する非小細胞肺がんに対する抗EGFR/MET二重特異性抗体であるアミバンタマブ+化学療法併用療法は臨床的に有望な抗腫瘍効果を示し、インフュージョンリアクションは比較的高い発生率であるが既知のプロファイルと同等でした」と結論を述べている。
Amivantamab efficacy in pretreated NSCLC with EGFR Exon 20 insertion mutations persists long term(European Lung Cancer Congress 2023, Abstract No: 3O)