FGFR阻害薬ペマジールがFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍に対する適応追加承認を取得ーインサイト・バイオサイエンシズー


  • [公開日]2023.04.10
  • [最終更新日]2023.04.10

3月27日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」に対する治療薬として、選択的線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害薬であるペマジール(一般名:ペミガチニブ、以下ペマジール)の適応拡大承認を取得したと発表した。

FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍は、きわめてまれな血液がんの1つ。骨髄細胞が過剰に増殖し、急速に急性骨髄性白血病に進行することもある。臨床症状によって、慢性期と急性期に大きく区別される。骨髄性疾患または骨髄異形成症候群と診断された場合は慢性期に分類され、急性期に分類されるのは急性白血病と診断された場合である。標準治療は確立されておらず、治癒や長期寛解が期待できる治療選択肢は、現時点では造血幹細胞移植のみと言われている。

今回の承認は、第2相FIGHT-203試験(NCT03011372)の結果に基づくもの。FIGHT-203試験は、FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍患者(N=41人)に対して、21日間を1サイクルとしてペマジール13.5mgを連日投与する群と、1~14日目にペマジール13.5mg投与し7日間休薬する群に振り分け、有効性安全性を検証した。

同試験の結果、全患者における完全奏効率は62.5%(95%信頼区間:45.8-77.3%)であり、連日投与群の完全奏効率は66.7%(95%信頼区間:46.0-83.5)を示した。

インサイト社のバイス・プレジデントおよびインサイト・ジャパンのジェネラルマネージャーであるローター・フィンケ氏は「ペマジールは日本で初めて承認されたFGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍の治療薬です。今回の厚生労働省の承認は、この希少疾患に苦しむ日本の患者さんに治療薬をお届けする重要な一歩となります。FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性又はリンパ性腫瘍はこれまで世界でも患者の報告が100名に満たない大変希少な疾患ですが、当社はこのような活動を通じ、重大なアンメット・メディカル・ニーズの解決策を導き出すことにコミットして参ります」と述べている。

FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍とは
FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍は、染色体のFGFR1が存在する8番染色体短腕11-12領域が切断され、別の染色体と融合して生じる染色体異常によって発症する。さまざまなパートナー遺伝子がFGFR1チロシンキナーゼの活性化を誘導することで、がん細胞の増殖と生存に影響を与える。

ペマジール(ペミガチニブ)とは
ペマジールは、FGFR1/2/3に対して選択的かつ強力な阻害作用を有する経口薬である。非臨床試験では、FGFR遺伝子異常を伴うがん細胞に対して選択的薬理活性を示している。ペマジールは国内において、これまでに「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」の治療薬として承認を取得している。

参照元:
インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社 プレスリリース

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