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切除可能な非小細胞肺がんに対する周術期治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+化学療法、無イベント生存期間を改善

[公開日] 2023.03.23[最終更新日] 2023.03.23

この記事の3つのポイント ・切除可能な非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験 ・周術期治療としてのイミフィンジ+化学療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証 ・無イベント生存期間を延長し、良好な病理学的寛解率を示した

3月9日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて切除可能ステージIIA~IIIB非小細胞肺がん患者に対する周術期治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のAEGEAN試験の結果が公表された。

AEGEAN試験は、切除可能ステージIIA~IIIB非小細胞肺がん患者(N=802人)に対する術前療法として3週1サイクルでイミフィンジ1500mg+化学療法を4サイクル実施し、術後療法として4週1サイクルでイミフィンジ1500mg単剤療法を最大12サイクル実施する群、もしくは術前療法として3週1サイクルでプラセボ+化学療法を4サイクル実施し、術後療法として4週1サイクルでプラセボ単剤療法を最大12サイクル実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として術前療法後の病理学的寛解率(pCR)、無イベント生存期間(EFS:ランダム化より発生した病勢進行、病勢進行による手術不可、死亡等のイベントをEFSとして定義)、重要な副次評価項目として無増悪生存期間(DFS)、全生存期間(OS)、安全性、QOLなどを比較検証したランダム化二重盲検多施設共同プラセボ対照の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、毎年約220万人程度の患者が肺がんとして診断され、その約80~85%は非小細胞肺がんである。非小細胞肺癌の約25~30%の患者は早期段階で診断され、手術により治癒が可能である。しかしながら、ステージIIの非小細胞肺がんの5年生存率(OS)は56~65%ほどであり、さらにステージIIIAで41%、ステージIIIBで24%に減少する。このように、早期非小細胞肺癌の治療方法には未だ改善する余地があり、アンメットメディカルニーズが存在する。以上の背景より、切除可能ステージIIA~IIIB非小細胞肺がん患者に対する周術期治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+化学療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)はプラセボ+化学療法群に比べてイミフィンジ+化学療法群で統計学的有意に改善する傾向を示し、臨床的意義のある結果を示した。もう1つの主要評価項目である病理学的寛解率(pCR)は前回の報告と同様に良好な結果を示した。一方の安全性として、既存の臨床試験で確認されているイミフィンジの安全性プロファイルと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。

以上の第3相AEGEAN試験の結果より、アストラゼネカ社オンコロジー研究開発部門Executive Vice PresidentのSusan Galbraith氏は「切除可能な非小細胞肺がんの患者さんは化学療法や手術による治療を受けても、高い再発率に直面しています。本研究の結果は、手術の前後にイミフィンジを追加することで患者さんが再発や進行することなく日常生活が送れる期間が延長することにつながります。今後も全生存期間について追跡調査を行っていきます」と述べている。

Imfinzi significantly improved event-free survival in AEGEAN Phase III trial for patients with resectable non-small cell lung cancer(AstraZeneca PressReleases)
ニュース 肺がん 術前補助療法

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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