進行性メラノーマに対する術前/術後療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法、2年無イベント生存率を改善The New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.03.13
  • [最終更新日]2023.03.13
この記事の3つのポイント
・進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者が対象の第2相試験
・術前/術後療法としてのキイトルーダ単剤療法の有効性安全性を比較検証
・2年無イベント生存率は術後療法群で49%、術前/術後療法群で72%を示した

3月2日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術前/術後療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法、術後療法としてのキイトルーダ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験(NCT03698019)の結果がUniversity of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのSapna P. Patel氏らにより公表された。

本試験は、ハイリスク進行性(ステージIII/IV)悪性黒色腫患者(N=313人)に対して術後療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで最大18サイクル実施する群(N=159人)、もしくは術前療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで3サイクル実施し、3週以内に手術を実施し、術後84日以内に術後療法として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで最大15サイクル実施する群(N=154人)に振り分け、主要評価項目として無イベント生存期間(EFS)、副次評価項目として全生存期間OS)、病勢コントロール率DCR)などを検証した第2相試験である。

本試験が開始された背景として、第3相のEORTC-1325-MG/KEYNOTE-054試験では、完全切除後の再発リスクのある進行性悪性黒色腫患者に対する術後療法としてのキイトルーダ単剤療法は、プラセボ単剤療法に比べて無再発生存期間RFS)を統計学的有意に改善することが示されている。しかしながら、進行性悪性黒色腫に対する術前療法、術後療法としてのキイトルーダ単剤療法の有用性は明らかにされていない。以上の背景より、本試験では進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術前/術後療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。(参考:N Engl J Med. 2018 May 10;378(19):1789-1801. doi: 10.1056/NEJMoa1802357. Epub 2018 Apr 15.

本試験のフォローアップ期間中央値14.7ヶ月時点における結果、2年無イベント生存率(EFS)は術後療法群の49%(95%信頼区間:41-59%)に対して術前/術後療法群で72%(95%信頼区間:64-80%)を示し、術後療法単独群に比べて術前/術後療法群で2年無イベント生存率(EFS)は高率であった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は術後療法群の14%に対して術前/術後療法群で12%であった。

以上の第2相試験の結果より、Sapna P.Patel氏らは「進行性悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術前/術後療法としてのキイトルーダ単剤療法は、術後療法のみを投与された患者と比較して2年無イベント生存率を改善し、新たな有害事象は見られませんでした」と結論を述べている。

Neoadjuvant–Adjuvant or Adjuvant-Only Pembrolizumab in Advanced Melanoma(N Engl J Med. 2023 Mar 2;388(9):813-823. doi: 10.1056/NEJMoa2211437.)

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