2022年12月10日~13日、米国ルイジアナ州・ニューオーリンズで開催されたASH 2022 Annual Meetingにて2レジメン以上の治療歴のあるグレード1~3aの再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するヒンジ領域を安定化させたCD3とCD20の両方を標的とする二重特異性抗体薬であるOdronextamab(オドロネクスタマブ)療法の有効性、安全性を検証した第2相のELM-2試験(NCT03888105)の結果がSeoul National University HospitalのTae Min Kim氏らにより公表された。
ELM-2試験は、抗CD28抗体とアルキル化剤を含む2レジメン以上の治療歴のあるグレード1~3aの再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対して21日間を1サイクルとしてオドロネクスタマブ療法を、1サイクル目の1日目に0.2mg、2日目に0.5mgの計7mgを投与し、8日目、9日目に10mgずつ計20mgを投与、15日目に80mgを投与し、2~4サイクル目までは1日目、8日目、15日目に80mgを投与し、以降は維持療法として2週を1サイクルとして160mgを投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証した多施設共同の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、第1相のELM-1試験( NCT02290951)にて2レジメン以上の治療歴のあるグレード1~3aの再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するオドロネクスタマブ療法は良好な抗腫瘍効果を示し、4年無増悪生存率(PFS)は54%、第2相試験推奨用量は1週を1サイクルとして80mgとして決定されている。以上の背景より、第2相試験ではサイトカイン放出症候群(CRS)を含む急性毒性を軽減する目的の投与スケジュールの有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された患者は下記の通りである。年齡中央値は59歳(22~84歳)。性別は男性が52%、濾胞性リンパ腫(FL)の国際予後指標FLIPIはスコア3~5が58%、バルキー病変ありが15.6%、前治療歴中央値は3レジメン(2~13レジメン)、直近の治療で抵抗性を示した患者が74%、抗CD20抗体治療歴は79%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。
本試験のフォローアップ期間中央値17.3ヶ月時点で有効性評価可能であった患者(N=85人)において、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は81%、完全寛解率(CR)は75%をそれぞれ示した。また、客観的奏効率(ORR)、完全寛解率(CR)はハイリスクグループ(65歳以上、FLIPIはスコア3~5、前治療抵抗性など)においても同様の結果が確認されている。無増悪生存期間(PFS)中央値は20.2ヶ月(95%信頼区間:14.8ヶ月-未到達)、全生存期間(OS)中央値は未到達(95%信頼区間:23.0ヶ月-未到達)であった。
一方の安全性として、評価対象96人の全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率は90%(N=86人)であった。30%以上の患者で確認されている治療関連有害事象(TRAE)はサイトカイン放出症候群(CRS)が51%、発熱が32%、貧血が31%、インフュージョンリアクションが31%であった。グレード2以上のサイトカイン放出症候群(CRS)の発現は確認されず、グレード1のサイトカイン放出症候群(CRS)発症率は39%であった。グレード5の治療関連有害事象(TRAE)は2人で確認され、治療関連有害事象(TRAE)を理由により治療中止に至った患者は6人確認された。
以上のELM-2試験の結果よりTae Min Kim氏らは「2レジメン以上の治療歴のあるグレード1~3aの再発難治性濾胞性リンパ腫(FL)患者に対するオドロネクスタマブ療法は完全寛解率(CR)75%を示しました。また、安全性プロファイルも許容できるものでした」と結論を述べている。
Odronextamab in Patients with Relapsed/Refractory (R/R) Follicular Lymphoma (FL) Grade 1–3a: Results from a Prespecified Analysis of the Pivotal Phase II Study ELM-2(64th ASH Annual Meeting & Exposition,Abstract 949)