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2022年12月28日、アストラゼネカ株式会社は、抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)と抗CTLA-4抗体薬であるイジュド(一般名:トレメリムマブ、以下イジュド)について、下記の適応症において12月23日付で厚生労働省より製造販売承認を取得したと発表した。
イミフィンジ単剤療法 治癒切除不能な胆道がん 切除不能な肝細胞がん
イミフィンジ+イジュド併用療法 切除不能な肝細胞がん 切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬剤
イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)
イミフィンジは、PD-L1に結合するヒト化モノクローナル抗体である。抗PD-L1に結合し、PD-L1とその受容体であるPD-1ならびにCD80の相互作用を阻害することで、抗腫瘍免疫反応を惹起させる作用をもつ。
イジュド(一般名:トレメリムマブ)
イジュドは、細胞障害性T-リンパ球抗原4(CTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬である。CTLA-4の作用を阻害することでT細胞が活性化され、がん細胞の死を誘発する。イジュドの承認は、今回が国内初であり、薬価は未収載。
臨床試験
それぞれの適応症に対する承認は下記の臨床試験の結果に基づいている。
TOPAZ-1試験
治癒切除不能な胆道がんに対するイミフィンジ単剤療法の承認は、第3相TOPAZ-1試験の中間解析の結果に基づくもの。同試験は、治癒切除不能な進行/転移性胆道がん患者(N=685人)に対するファーストライン治療として、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法とプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法に振り分け、安全性と有効性を比較検証した第3相国際共同試験である。なお、同試験に参加した胆道がん患者の詳細は、肝内胆管がん、肝外胆管がん、胆嚢がん(乳頭部がんを除く)である。
HIMALAYA試験
切除不能な肝細胞がんに対するイミフィンジ単剤療法、ならびにイミフィンジ+イジュド併用療法の承認は第3相HIMALAYA試験の結果に基づくもの。同試験は、全身療法による前治療歴がなく、局所療法不適応の切除不能進行肝細胞がん(N=1324人)を対象に、イミフィンジ単剤療法群、イミフィンジ1500mg+イジュド300mgを単回投与した後、4週1サイクルでイミフィンジ単剤療法を投与する群、標準治療であるマルチキナーゼ阻害薬ソラフェニブを投与する群に振り分け、全生存期間(OS)や無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)ならびに安全性などについて比較検証した。
POSEIDON試験
切除不能な進行/再発非小細胞肺がんに対するイミフィンジ+イジュド併用療法の承認は、第3相POSEIDON試験の結果に基づくもの。同試験は、ステージIVの転移性非小細胞肺がん患者(N=1013人)を対象に、イミフィンジ+白金製剤を含む化学療法併用療法、イミフィンジ+イジュド+白金製剤を含む化学療法併用療法、化学療法単独療法の3群に振り分け、有効性と安全性を比較検証した国際共同臨床試験である。同試験の結果、イミフィンジ+化学療法群ならびにイミフィンジ+イジュド+化学療法群における無増悪生存期間のエンドポイントを達成し、全生存期間においても有効性の解析を行った。
アストラゼネカの研究開発本部長である大津智子氏は「日本をはじめとするアジア諸国では、他の地域と比較して肝がんおよび胆道がんと診断される患者さんの割合が高く、また肺がんに関しては、他国よりも日本の発症率が低いにもかかわらず、依然としてがんによる死因の1位となっています。今回のイミフィンジとイジュドの承認により、予後の悪い3つのがん種に対して有意な生存期間の延長効果を示した免疫チェックポイント阻害剤による治療を日本の患者さんに新たな選択肢として提供できることを大変嬉しく思います」と述べている。
参照元:アストラゼネカ株式会社 プレスリリース