HR陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がんに対するアジュバント療法としてのベージニオ+ホルモン療法、4年無浸潤疾患生存率85.8%を示すThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.12.13
  • [最終更新日]2022.12.12
この記事の3つのポイント
ホルモン受容体陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がん患者が対象の第3相試験
アジュバント療法としてのCDK4/6阻害薬ベージニオ+ホルモン療法有効性安全性をホルモン療法のみと比較検証
・4年無浸潤疾患生存率は85.8%であり、ホルモン療法群の79.4%に対して絶対差6.4%を認めた

2022年12月6日、医学誌『The Lancet Oncology』にてホルモン受容体陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がん患者に対するアジュバント療法としてのCDK4/6阻害薬であるベージニオ(一般名:アベマシクリブ、以下ベージニオ)+ホルモン療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のmonarchE試験(NCT03155997)の中間解析の結果がThe Royal Marsden NHS Foundation TrustのStephen R D Johnston氏らにより公表された。

monarchE試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がん患者(N=5637人)に対して1日2回ベージニオ150mgを最大2年間+主治医選択の標準ホルモン療法を最大10年間実施する群(N=2808人)、もしくは主治医選択の標準ホルモン療法を最大10年間実施する群(N=2829人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無浸潤疾患生存期間(IDFS)、副次評価項目として全生存期間OS)などを比較検証した第3相試験である。

本試験が開始された背景として、monarchE試験の初回解析よりホルモン受容体陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がん患者に対するアジュバント療法としてのCDK4/6阻害薬ベージニオ+標準ホルモン療法は無浸潤疾患生存期間(IDFS)、無遠隔転移生存期間(DMFS) を統計学有意に改善することが示されている。以上の背景より、monarchE試験の中間解析の結果が公表された。

本試験のフォローアップ期間中央値42ヶ月時点における結果、主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(IDFS)中央値は両群間で未到達であり、前解析の結果と同等の内容であった(HR:0.664、95%信頼区間:0.578-0.762、P<0.0001)。4年無浸潤疾患生存率(IDFS)はベージニオ+ホルモン療法併用群の85.8%(95%信頼区間:84.2-87.3%)に対してホルモン療法群で79.4%(95%信頼区間:77.5-81.1%)と、絶対差は6.4%であった。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率は、好中球減少症がベージニオ+ホルモン療法併用群の19.6%(N=548/2791人)に対してホルモン療法群で0.9%(N=24/2800人)、白血球減少症が11.4%に対して0.4%、下痢が7.8%に対して0.2%であった。重篤な有害事象(SAE)発症率はベージニオ+ホルモン療法併用群の15.5%(N=433/2791人)に対してホルモン療法群で9.1%(N=256/2800人)であり、両群で治療関連有害事象(TRAE)による死亡は確認されなかった。

以上のmonarchE試験の中間解析の結果よりStephen R D Johnston氏らは「ホルモン受容体陽性HER2陰性リンパ節転移陽性早期乳がん患者に対するアジュバント療法としてのCDK4/6阻害薬ベージニオ+ホルモン療法は、4年無浸潤疾患生存率(IDFS)においても良好な結果を示し、長期にわたって臨床的有用性が確認されました」と結論を述べている。

Abemaciclib plus endocrine therapy for hormone receptor-positive, HER2-negative, node-positive, high-risk early breast cancer (monarchE): results from a preplanned interim analysis of a randomised, open-label, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2022 Dec 6;S1470-2045(22)00694-5. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00694-5.)

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