HER2遺伝子発現/増幅の局所進行性/転移性固形がんに対する抗HER2モノクローナル抗体Zanidatamab療法、客観的奏効率37%を示すThe Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.11.22
  • [最終更新日]2022.11.21
この記事の3つのポイント
HER2遺伝子発現/増幅の局所進行性/転移性固形がん患者が対象の第1相試験
・抗HER2モノクローナル抗体Zanidatamab療法の有効性安全性を比較検証
・第2相試験推奨用量は2週1サイクル20mg/kg、客観的奏効率37%を示した

11月15日、医学誌『The Lancet Oncology』にてHER2遺伝子発現/増幅の局所進行性/転移性固形がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体であるZanidatamab(ザニダタマブ)の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT02892123)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのFunda Meric-Bernstam氏らにより公表された。

本試験は、HER2遺伝子発現/増幅の局所進行性/転移性固形がん患者に対して1、2もしくは3週を1サイクルとしてZanidatamab 5mg/kg~30mg/kg療法を実施し、主要評価項目としてPART1では最大耐用量(MTD)、PART2では安全性などを検証した多施設共同用量漸増拡大の第1相試験である。

本試験が開始された背景として、抗HER2モノクローナル抗体は乳がん、胃がんにおいて臨床的意義のある効果が確認されている。その他の固形がんでもHER2遺伝子発現、増幅は確認されており、臨床的意義のある効果が確認される可能性がある。以上の背景より、抗HER2モノクローナル抗体であるZanidatamab療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、46人が参加したPART1では用量制限毒性DLT)、最大耐用量(MTD)は確認されず、第2相試験の推奨用量は2週1サイクル20mg/kgと決定された。PART2で最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は下痢が43%(N=37/86人)、インフュージョンリアクションが34%(N=29/86人)であった。グレード3の治療関連有害事象(TRAE)が確認された患者は、トータル132人のうち3%に該当する4人であった。

PART2で有効性評価可能であった83人のうち、31人(37%、95%信頼区間:27.0-48.7%)で客観的奏効(ORR)が確認された。

以上の第1相試験の結果よりFunda Meric-Bernstam氏らは「HER2遺伝子発現/増幅の局所進行性/転移性固形がん患者に対する抗HER2モノクローナル抗体Zanidatamab療法は、胆道がん、大腸がんをはじめ様々ながん種に対して有用性がある可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Zanidatamab, a novel bispecific antibody, for the treatment of locally advanced or metastatic HER2-expressing or HER2-amplified cancers: a phase 1, dose-escalation and expansion study(Lancet Oncol. 2022 Nov 15;S1470-2045(22)00621-0. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00621-0.)

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