複数治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん(GEJ)患者に対するエンハーツ単剤療法、客観的奏効率9.5%~26.3%を示すJournal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2022.11.21
  • [最終更新日]2022.11.18
この記事の3つのポイント
・2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん(GEJ)患者が対象の第2相試験
トラスツズマブ デルクステカンエンハーツ単剤療法有効性安全性を検証
主要評価項目の客観的奏効率は、コーホート1で26.3%、コーホート2で9.5%を示した

2022年11月15日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん(GEJ)患者に対するトラスツズマブ デルクステカン(商品名エンハーツ;以下エンハーツ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第II相のDESTINY-Gastric01試験(NCT03329690)の結果ががん研有明病院の山口研成氏らにより公表された。

DESTINY-Gastric01試験は、2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん(GEJ)患者を対象に3週を1サイクルとしてエンハーツ6.4mg/kg単剤療法を投与する群、または主治医選択の化学療法イリノテカンパクリタキセル等)を投与する群に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として独立中央評価(ICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した多施設共同非盲検下の第II相試験である。

なお、HER2判定基準によりIHC(immunohistochemistry)法2+/ISC法(situ hybridization)陰性群をコーホート1(N=21人)、IHC(immunohistochemistry)法1+群をコーホート2(N=24人)として分けている。

本試験の結果、エンハーツ群における独立中央評価(ICR)による客観的奏効率(ORR)は、コーホート1で26.3%(95%信頼区間:9.1%-51.2%)、コーホート2で9.5%(95%信頼区間:1.2%-30.4%)を示した。また、腫瘍サイズ縮小率はコーホート1で68.4%(N=13人)、コーホート2で60.0%(N=12人)を示した。

全生存期間(OS)中央値は、コーホート1で7.8ヶ月(95%信頼区間:4.7ヶ月-未到達)、コーホート2で8.5ヶ月(95%信頼区間:4.3-10.9ヶ月)。無増悪生存期間(PFS)中央値はコーホート1で4.4ヶ月(95%信頼区間:2.7-7.1ヶ月)、コーホート2で2.8ヶ月(95%信頼区間:1.5-4.3ヶ月)であった。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、貧血がコーホート1で30.0%、コーホート2で29.2%、好中球数減少がコーホート1で25.0%、コーホート2で29.2%、食欲減退がコーホート1で20.0%、コーホート2で20.8%を示した。薬剤関連性の間質性肺炎/肺疾患はそれぞれのコーホートで1人ずつ確認されている。

以上のDESTINY-Gastric01試験の結果より山口研成氏らは以下のように結論を述べている。”2レジメン以上の治療歴のあるHER2陽性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん(GEJ)患者に対するエンハーツ単剤療法は臨床的に評価のある抗腫瘍効果を示しました。”

Trastuzumab Deruxtecan in Anti–Human Epidermal Growth Factor Receptor 2 Treatment–Naive Patients With Human Epidermal Growth Factor Receptor 2–Low Gastric or Gastroesophageal Junction Adenocarcinoma: Exploratory Cohort Results in a Phase II Trial(J Clin Oncol
. 2022 Nov 15;JCO2200575. doi: 10.1200/JCO.22.00575.)

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