11月11日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて根治的前立腺摘出後のハイリスク再発前立腺がん患者に対するサルベージ放射線療法+アンドロゲン受容体拮抗薬であるエンザルタミド併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のSALV-ENZA試験(NCT02203695)の結果がThe Sidney Kimmel Comprehensive Cancer CenterのPhuoc T. Tran氏らにより公表された。
SALV-ENZA試験は、根治的前立腺摘出後のハイリスク再発前立腺がん患者(N=86人)に対してサルベージ放射線療法+1日1回エンザルタミド160mg併用療法を6ヶ月間実施する群、もしくはサルベージ放射線療法+プラセボ療法を6ヶ月間実施する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目としてPSA(前立腺特異抗原)進行による無再発期間(FFPP)、副次評価項目として局所再発期間、安全性などを比較検証したランダム化二重盲検下の第2相試験である。
本試験に登録された患者における放射線療法前のPSA中央値は0.3ng/ml(0.06~4.6)、グリソンスコア8~10の患者割合は45%(N=39/86人)、両群間で患者背景に偏りはなかった。以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値34ヶ月時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目であるPSAの進行による無再発期間(FFPP)は、サルベージ放射線療法+プラセボ群に比べてサルベージ放射線療法+エンザルタミド併用群で統計学的有意に改善を示した(HR:0.42、95%信頼区間:0.19-0.92、P=0.031)、2年PSA無再発率(FFPP)はサルベージ放射線療法+エンザルタミド併用群84%に対してサルベージ放射線療法+プラセボ群66%をそれぞれ示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)はグレード1~2の疲労がサルベージ放射線療法+プラセボ群53%に比べてサルベージ放射線療法+エンザルタミド併用群65%、頻尿がサルベージ放射線療法+プラセボ群49%に比べてサルベージ放射線療法+エンザルタミド併用群40%であった
以上のSALV-ENZA試験の結果よりPhuoc T. Tran氏らは「根治的前立腺摘出後のハイリスク再発前立腺がん患者に対するサルベージ放射線療法+アンドロゲン受容体拮抗薬エンザルタミド併用療法は、忍容性が良好であり、放射線療法単独に比べてPSAの進行による無再発期間(FFPP)を統計学的有意に改善しました」と結論を述べている。