BRCA1/2遺伝子生殖細胞系列変異陽性ハイリスク早期乳がんに対する術後療法としてのリムパーザ単剤療法、全生存期間を延長Annals of Oncologyより


  • [公開日]2022.10.19
  • [最終更新日]2022.10.19
この記事の3つのポイント
BRCA1/2遺伝子生殖細胞系列変異陽性ハイリスク早期乳がん患者が対象の第3相試験
・術後療法としてのリムパーザ単剤療法の有効性安全性プラセボと比較検証
全生存期間はリムパーザ単剤群で統計学的有意に改善し、死亡リスクを32%減少した

10月10日、医学誌『Annals of Oncology』にてBRCA1/2遺伝子生殖細胞系列変異陽性ハイリスク早期乳がん患者に対する術後療法としてのPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のOlympiA試験の長期フォローアップ結果がUPMC Hillman Cancer CenterのC.E. Geyer Jr.氏らにより公表された。

OlympiA試験は、BRCA1/2遺伝子生殖細胞系列変異陽性ハイリスク早期乳がん患者(N=1836人)に対する術後療法としてリムパーザ単剤を投与する群、もしくはプラセボ単剤を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目としてITT集団における無浸潤疾患生存期間iDFS)、副次評価項目として遠隔無再発生存期間(DDFS)、全生存期間(OS:有意差基準値はP<0.015)、QOL、安全性などを比較検証したランダム化二重盲検下の第3相試験である。なお、ホルモン受容体陽性の患者に対してはホルモン療法を併用している。

本試験のフォローアップ期間中央値3.5年時点における結果、副次評価項目である全生存期間(OS)はプラセボ単剤群に比べてリムパーザ単剤群で統計学的有意に改善を示した(HR:0.68、98.5%信頼区間:0.47-0.97、P=0.009)。4年全生存率(OS)はリムパーザ単剤群の89.8%に対してプラセボ単剤群で86.4%と、リムパーザ単剤群で4年全生存率(OS)を3.4%改善(95%信頼区間:-0.1-6.8%)した。

4年無浸潤疾患生存率(iDFS)はリムパーザ単剤群の82.7%に対してプラセボ単剤群で75.4%と、リムパーザ単剤群で7.3%改善(95%信頼区間:3.0-11.5%)した。4年無遠隔転移生存率(DDFS)はリムパーザ単剤群の86.5%に対してプラセボ単剤群で79.1%、リムパーザ単剤群で7.4%改善(95%信頼区間:3.6-11.3%)した。サブグループ解析でも、全生存期間(OS)、無浸潤疾患生存期間(iDFS)、無遠隔転移生存期間(DDFS)においてリムパーザ単剤群で改善が確認された。

以上のOlympiA試験の長期フォローアップ結果よりC.E. Geyer Jr.氏らは「3.5年の長期フォローアップ結果、BRCA1/2遺伝子生殖細胞系列変異陽性ハイリスク早期乳がん患者に対する術後療法としてのPARP阻害薬リムパーザ単剤療法は、プラセボ単剤療法に比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善することが示されました」と結論を述べている。

Overall survival in the OlympiA phase III trial of adjuvant olaparib in patients with germline pathogenic variants in BRCA1/2 and high risk, early breast cancer(Ann Oncol. 2022 Oct 10;S0923-7534(22)04165-5. doi: 10.1016/j.annonc.2022.09.159.)

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