完全切除後のステージIB–IIIA非小細胞肺がんに対する術後療法としてのキイトルーダ単剤療法、無病生存期間を有意に改善The Lancet Oncologyより


  • [公開日]2022.09.28
  • [最終更新日]2022.09.27
この記事の3つのポイント
完全切除後のステージIB–IIIA非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・術後療法としてキイトルーダ単剤療法の有効性安全性プラセボと比較検証
無病生存期間はキイトルーダ群53.6ヶ月であり、プラセボ群(42.0ヶ月)に対して延長を示した

9月11日、医学誌『The Lancet Oncology』にて完全切除後のステージIB–IIIA非小細胞肺がん患者に対する術後療法としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のPEARLS/KEYNOTE-091試験(NCT02504372)の中間解析結果がRoyal Marsden HospitalのMary O’Brien氏らにより公表された。

PEARLS/KEYNOTE-091試験は、完全切除後のステージIB–IIIA非小細胞肺がん患者(N=1177人)に対する術後療法として3週を1サイクルでキイトルーダ200mg単剤を最大18サイクル投与する群(N=590人、TPS≧50%の患者168人含む)、もしくはプラセボ単剤を投与する群(N=587人、TPS≧50%の患者165人含む)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群における無病生存期間(DFS)、PD-L1陽性群(TPS≧50%)の無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間OS)などを比較検証した多施設共同ランダム化の第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値35.6ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全患者群における無病生存期間(DFS)中央値は、キイトルーダ単剤群の53.6ヶ月(95%信頼区間:39.2ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で42.0ヶ月(95%信頼区間:31.3ヶ月-未到達)と、キイトルーダ単剤群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを24%(HR:0.76、95%信頼区間:0.63-0.91、P=0.0014)減少した。

主要評価項目であるPD-L1陽性群(TPS≧50%)における無病生存期間(DFS)中央値は、キイトルーダ単剤群の未到達(95%信頼区間:44.3ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で未到達(95%信頼区間:35.8ヶ月-未到達)であり、キイトルーダ単剤群で病勢進行または死亡(DFS)のリスクを18%(HR:0.82、95%信頼区間:0.57-1.18、P=0.14)減少した。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はキイトルーダ単剤群の34%(N=198人)対してプラセボ単剤群で26%(N=150人)を示した。少なくとも10人の患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は、キイトルーダ単剤群で高血圧が35人(6%)、肺炎が12人(2%)、プラセボ単剤群で高血圧が32人(6%)であった。

重篤な有害事象(SAE)発症率は、キイトルーダ単剤群の24%(N=142人)対してプラセボ単剤群で15%(N=90人)を示した。少なくとも1%以上の患者で確認された重篤な有害事象(SAE)はキイトルーダ単剤群で肺炎が13人(2%)、肺臓炎が12人(2%)、下痢が7人(1%)、プラセボ単剤群で肺炎が9人(2%)であった。治療関連有害事象(TRAE)による死亡は、キイトルーダ単剤群では4人(1%)の患者で確認され、1人は心原性ショックと心筋炎、1人は敗血症性ショックと心筋炎、1人は肺炎、1人は突然死であった。

以上のPEARLS/KEYNOTE-091試験の結果よりMary O’Brien氏らは「完全切除後のステージIB–IIIA非小細胞肺癌患者に対する術後療法としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、無病生存期間(DFS)を統計学的有意に改善しました。抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は本疾患の治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。

Pembrolizumab versus placebo as adjuvant therapy for completely resected stage IB–IIIA non-small-cell lung cancer (PEARLS/KEYNOTE-091): an interim analysis of a randomised, triple-blind, phase 3 trial(Lancet Oncol. 2022 Sep 12;S1470-2045(22)00518-6. doi: 10.1016/S1470-2045(22)00518-6.)

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