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転移性非小細胞肺がんに対するファーストライン治療としてイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法、4年長期フォローアップで全生存期間14.0ヶ月を示す

[公開日] 2022.09.26[最終更新日] 2022.09.26

この記事の3つのポイント ・転移性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験 ・ファーストライン治療としてのイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証 ・全生存期間は14.0ヶ月であり、化学療法群(11.7ヶ月)に対して死亡リスクを25%減少した

9月11日、英アストラゼネカ社のプレスリリースにて転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+化学療法、イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブ+化学療法、化学療法の単独療法を比較検証した第3相のPOSEIDON試験の4年フォローアップ解析の結果が公表された。

POSEIDON試験は、転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者(N=1013人)に対するファーストライン治療として3週1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+化学療法を実施する群、または3週1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+トレメリムマブ75mg+化学療法を実施する群、または化学療法を実施する群に無作為に振り分け、主要評価項目として化学療法単独に比べたイミフィンジ+化学療法の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、副次評価項目として化学療法単独に比べたイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した無作為化非盲検多施設共同国際の第3相試験である。

本試験のアップデート解析の背景として、KRAS遺伝子変異は非小細胞肺がんの腫瘍増殖ドライバー遺伝子であり、約25%程度の患者で発生が確認される。また、STK11、KEAP1遺伝子変異を有する肺がんは、予後が不良であり、免疫チェックポイント阻害薬に対して応答性のあるKRAS遺伝子変異陽性非小細胞肺がんでも、STK11、KEAP1遺伝子変異を同時併発する場合には予後が不良になる。以上の背景より、本試験のアップデート解析の結果が公表された。

本試験の結果、全患者群(N=675人)における全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群(N=338人)の14.0ヶ月に対して化学療法単独群(N=337人)で11.7ヶ月と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを25%(HR:0.75、95%信頼区間:0.63-0.88)減少した。また、3年全生存率(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群25.0%に対して化学療法単独群13.6%を示した。

STK11遺伝子変異群(N=53人)における全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群(N=31人)の15.0ヶ月に対して化学療法単独群(N=22人)で10.7ヶ月と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを38%(HR:0.62、95%信頼区間:0.34-1.12)減少した。また、3年全生存率(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の25.8%に対して化学療法単独群で4.5%を示した。

KEAP1遺伝子変異群(N=28人)における全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群(N=22人)の13.7ヶ月に対して化学療法単独群(N=6人)で8.7ヶ月と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを57%(HR:0.43、95%信頼区間:0.16-1.25)した。また、3年全生存率(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の30.0%に対して化学療法単独群で0%を示した。

KRAS遺伝子変異群(N=113人)における全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群(N=60人)の25.7ヶ月に対して化学療法単独群(N=53人)で10.4ヶ月と、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群で死亡(OS)のリスクを45%(HR:0.55、95%信頼区間:0.36-0.85)減少した。また、3年全生存率(OS)はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の40.0%に対して化学療法単独群で15.8%を示した。

一方の安全性として、イミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法は4年長期フォローアップ期間中も忍容性に問題のないことが確認された。重篤な有害事象(SAE)発症率はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の27.6%に対して化学療法単独群で17.7%、治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はイミフィンジ+トレメリムマブ+化学療法群の3.3%に対して化学療法単独群で2.4%であった。

アストラゼネカ社のExecutive Vice PresidentであるSusan Galbraithは、「転移性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+抗CTLA-4抗体薬トレメリムマブ+化学療法は全生存期間の改善を認めました。この治療法の可能性を一日も早く患者さんにお届けできることを楽しみにしています」と述べている。

Imfinzi and tremelimumab with chemotherapy demonstrated sustained survival benefit in metastatic non-small cell lung cancer, nearly doubling the number of patients alive after three years vs. chemotherapy(AstraZeneca PressReleases)
ニュース 肺がん イミフィンジ

山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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