シスプラチンベースの治療に不適格な未治療の進行性尿路上皮がんに対するパドセブ+キイトルーダ併用療法、安全性と腫瘍縮小を確認Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2022.09.14
  • [最終更新日]2022.09.12
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シスプラチンベースの治療に不適格である未治療の進行性尿路上皮がん患者が対象の第1b/2相試験
パドセブキイトルーダ併用療法の有効性安全性を検証
・管理可能な安全性プロファイルを示し、客観的奏効率73.3%を示す

8月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてシスプラチンベースの治療に不適格である未治療の進行性尿路上皮がん患者に対するネクチン-4を標的とする抗体薬物複合体であるパドセブ(一般名:エンホルツマブ ベドチン、以下パドセブ)+抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b/2相試験(NCT03288545)の結果がDuke UniversityのChristopher J. Hoimes氏らにより公表された。

本試験は、シスプラチンベースの治療に不適格である未治療の進行性尿路上皮がん患者(N=45人)に対して3週を1サイクルとして1、8日目にパドセブ1.25mg/kg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を実施し、主要評価項目として安全性、重要な副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)、全生存期間OS)を検証した多施設共同オープンラベルの第1b/2相試験である。

本試験が開始された背景として、局所進行性/転移性尿路上皮がんの標準治療はシスプラチンベースの化学療法である。しかしながら、シスプラチンベースの化学療法は毒性があり、奏効の持続性はまれで、適応格基準を満たさない患者も存在する。以上の背景より、未治療の進行性尿路上皮がん患者に対するネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体パドセブ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である安全性は下記の通りである。最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は末梢神経障害が55.6%、疲労が51.1%、脱毛症が48.9%であった。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は64.4%(N=29人)であり、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、リパーゼ増加が17.8%、黄斑変性症が11.1%、疲労が11.1%であった。

重要な副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、平均9サイクル治療後で73.3%を示し、完全奏効率(CR)は15.6%を示した。奏効持続期間(DOR)中央値は25.6ヶ月、全生存期間(OS)中央値は26.1ヶ月をそれぞれ示した。

以上の第1b/2相試験の結果よりChristopher J. Hoimes氏らは「シスプラチンベースの治療に不適格である未治療の進行性尿路上皮がん患者に対するネクチン-4を標的とする抗体-薬物複合体パドセブ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、管理可能な安全性プロファイルを示し、大半の患者で腫瘍縮小を達成しました」と結論を述べている。

Enfortumab Vedotin Plus Pembrolizumab in Previously Untreated Advanced Urothelial Cancer(J Clin Oncol. 2022 Aug 30;101200JCO2201643. doi: 10.1200/JCO.22.01643.)

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