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術後薬物療法の適応を取得したリムパーザが乳がん患者さんに与える影響は?アストラゼネカ社がメディアセミナーを開催


  • [公開日]2022.09.07
  • [最終更新日]2022.09.07

アストラゼネカ株式会社は9月5日、メディアセミナー「早期乳がん治療におけるリムパーザの役割とは~アストラゼネカの乳がん治療に対する持続的なイノベーション ~」を開催。愛知県がんセンター中央病院副院長・乳腺科部長の岩田広治先生が講演した。

今回のセミナーは、2022年8月24日付で、PARP阻害剤リムパーザ(一般名:オラパリブ)の「BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌における術後薬物療法」への適応拡大が承認されたことに基づくもの。適応拡大の根拠となった国際共同第相試験(OlympiA)は、生殖細胞系列BRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の高リスク早期乳がんにおいて、根治的な局所治療および術前/術後補助化学療法を完了した患者さん1836例(うち日本人140例)を対象に、術後薬物療法としてのリムパーザの有効性および安全性を、プラセボと比較検討した試験である。

同試験の結果、リムパーザはプラセボと比較して、主要評価項目である無浸潤疾患生存期間(IDFS:浸潤性疾患のない生存期間)を統計学的に有意に延長した(ハザード比=0.581、99.5%信頼区間:0.409-0.816、p値<0.0001)。また、副次評価項目である遠隔無病生存期間(DDFS)に関しても有意な延長が見られ(ハザード比=0.574、 99.5%信頼区間;0.392-0.831、p<=0.005)、リムパーザ服用により、予後に影響し得る遠隔再発の予防につながっていることが示された。更に、全生存期間(OS)に関しても、2回目の中間解析において統計学的に有意な延長が認められた(ハザード比=0.678、 98.5%信頼区間;0.468-0.973、p値=0.009)。岩田先生は「BRCA遺伝子変異陽性というバイオマーカーによって、リムパーザが奏効する症例を効果的に絞り込むことができた結果」と考察した。

 なお、同試験におけるリムパーザの有害事象は、過去の臨床試験プロファイルと一貫しており、悪心・嘔吐、疲労に加え、リムパーザに特徴的な貧血の発現が認められた。

今回の適応拡大により、周術期におけるBRCA検査の目的として、従来の遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)診断に加え、リムパーザ使用のためのコンパニオン診断としての意義が加わった。岩田先生は「BRCA検査がHBOCを特定することによるリスク低減(予防)の意味だけでなく、予後に直接影響し得る検査となったことを意味しており、実臨床におけるBRCA検査が今後更に重要になる」と言及した。

HBOC診断のためのBRCA検査は、2020年に保険適応となっている。岩田先生によると愛知がんセンターでは、適格症例の6-7割が実際に検査を受けているが、家族性のがんの可能性を懸念し極的に検査を受ける患者さんがいる一方で、遺伝性の可能性を知りたくない場合や経済的なハードルがある場合、受けない患者さんもいたという。今回、BRCA検査が治療薬に直結する検査となったため、「より多くの患者さんに検査を実施していくことが大切」と強調した。

また、岩田先生によると、患者さんの一番の不安は再発であることがさまざまな先行研究から報告されているとのこと。今回の適応拡大により、リムパーザが再発を抑制し生存期間を延ばす新たな治療選択肢となるだけでなく、患者さんの不安の軽減につながる一つの希望となることが期待される。

参考
アストラゼネカ株式会社 プレスリリース
https://www.astrazeneca.co.jp/media/press-releases1/2022/2022082501.html

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