8月8日、インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社は、「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性/リンパ性腫瘍(8p11骨髄増殖症候群)」を適応症として、選択的繊維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害剤ペミガチニブ(商品名:ペマジール)の適応拡大を申請したと発表した。
FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性/リンパ性腫瘍は、染色体のFGFR遺伝子が存在する8番染色体短腕11-12領域(8p11-12領域)が切断され、別の遺伝子と融合することで発症する希少な血液がん。病型は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、前駆TまたはBリンパ芽球性白血病/リンパ腫、混合表現型急性白血病(MPAL)などを呈する。融合するあらゆる遺伝子によってFGFR1チロシンキナーゼが活性化され、がん細胞の増殖と生存に影響を与える。現在、治癒もしくは長期寛解を期待できる治療選択肢は同種造血幹細胞移植のみであり、標準治療は確立されていない。
ペミガチニブは、厚生労働省より「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性/リンパ性腫瘍」の治療薬の候補として希少疾病用医薬品の指定を受けている。
同社のジェネラルマネージャーであるローター・フィンケ氏は「FGFR1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍に対するペミガチニブの適応拡大承認申請が厚生労働省に提出され、また希少疾病用医薬品の指定を受けたことを大変喜ばしく思います。今回の申請は、この希少疾患に苦しむ患者さんに新しい治療薬をお届けする上で大きな一歩となります。日本での承認審査を進めるため、PMDAと緊密に連携して参ります」と述べている。
ペミガチニブとは ペミガチニブはFGFR1/2/3に対して強力かつ選択的な阻害作用を持つ経口チロシンキナーゼ阻害薬である。非臨床試験においては、FGFR遺伝子異常を伴うがん細胞に対して選択的薬理活性を示している。国内では2021年に「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道がん」を適応症として製造販売承認を取得した。また、その際も希少疾病用医薬品の指定を受けている。
希少疾病用医薬品とは 国内における患者数が5万人未満で、メディカルニーズの高い希少疾患の治療薬として開発中の薬剤に対して厚生労働省が認定するもの。希少疾病用医薬品に指定されると、製造販売承認の優先審査の対象となり、医療現場への迅速な提供につながる。
参照元:インサイト・バイオサイエンシズ・ジャパン合同会社 プレスリリース