切除不能肝細胞がんに対する一次治療としてのレンビマ+キイトルーダ併用療法、無増悪生存期間と全生存期間で達成基準に届かずーエーザイと米メルク社ー


  • [公開日]2022.08.08
  • [最終更新日]2022.08.04

8月3日、エーザイ株式会社と米メルク社は、切除不能肝細胞がん患者を対象に、経口チロシンキナーゼ阻害剤レンビマ(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法有効性安全性を評価した第3相LEAP-002試験(NCT03713593)の結果を発表した。

肝細胞がんは、原発性肝がんの約9割を占め、肝がんの中で最も発生頻度の高いものである。世界では6番目に罹患者が多いがん腫であり、米国においては、がん関連死の原因として最も急速に増加している。肝がんのリスク因子には慢性ウイルス性肝炎(B型肝炎やC型肝炎)、肝硬変、飲酒、メタボリックシンドロームなどがあげられる。

これまでにレンビマ単剤療法は、第3相REFLECT試験の結果に基づき、米国、欧州、中国においては「切除不能肝細胞がんの一次治療」、日本においては「切除不能肝細胞がん」の適応で承認を取得している。

LEAP-002試験は、切除不能肝細胞がんの一次治療に、21日を1サイクルとして1日1回レンビマ12mgまたは8mg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を最大35サイクル実施する群と21日を1サイクルとして1日1回レンビマ12mgまたは8mg+プラセボを最大35サイクル実施する群に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間PFS)と全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、奏効期間DOR)、安全性などを検証した二重盲検ランダム化比較試験である。

同試験の結果、評価項目である無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)はレンビマ単剤療法に対して改善傾向を示したものの、事前に設定した達成基準を満たさなかった。一方、安全性プロファイルは、これまでに報告されているものと同様であった。また、レンビマ単剤療法の全生存期間(OS)中央値は、これまでの切除不能肝細胞がんにおける同療法の結果と比較すると延長を示した。

エーザイ オンコロジー クリニカルリサーチ シニアバイスプレジデントであるCorina Ductus氏は「LEAP-002試験では、切除不能肝細胞がんの治療のさらなる改善を企図して、『レンビマ』と『キイトルーダ』との併用療法の比較対照に、標準療法である『レンビマ』単剤療法を採用しました。本併用療法の成績は我々の期待するものではありませんでしたが、本試験から得られた貴重な知見を活かし、引き続き、肝細胞がん患者様への貢献を果たしていきます」と語っている。

なお、同試験の結果は、今後学会で発表される予定である。

レンビマ(レンバチニブメシル酸塩)とは
経口マルチキナーゼ阻害剤レンビマは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)であるVEGFR1/2/3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1/2/3/4に加え、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼを選択的に阻害する。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)とは
抗PD-1抗体薬キイトルーダは、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける。キイトルーダはPD-1とそのリガンドであるPD-L1/2との相互作用を阻害して、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化する。

参照元:
エーザイ株式会社 ニュースリリース

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