切除不能な局所進行/転移性尿路上皮がんに対するADCパドセブ+キイトルーダ併用療法、客観的奏効率64.5%を示すーアステラスー


  • [公開日]2022.07.29
  • [最終更新日]2022.07.29

7月26日、アステラス製薬株式会社は、切除不能な局所進行/転移性尿路上皮がんに対する一次治療として、抗体薬物複合体ADC)であるPADCEV(パドセブ、一般名:エンホルツマブ ベドチン、以下パドセブ)+キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)併用療法有効性安全性を評価した第1b/2相EV-103試験(KEYNOTE-869試験:NCT03288545)のコホートKで良好なトップライン結果が得られたと発表した。

EV-103試験コホートKは、切除不能な局所進行性/転移性尿路上皮がんのうちシスプラチンに不適応の患者を対象に、一次治療としてのパドセブ単剤療法とパドセブ+キイトルーダ併用療法を検証した無作為化試験である。同試験では、3週を1サイクルとして1日目と8日目にパドセブ単剤療法を実施する群と3週を1サイクルとして1日目と8日目にパドセブ+1日目にキイトルーダ併用療法を実施する群に振り分け、主要評価項目として盲検独立中央判定(BICR)による客観的奏効率ORR)などを、副次評価項目として治験担当医師によるORR、奏効持続期間(DOR)、安全性などを評価した。

同試験の結果、パドセブ+キイトルーダ併用療法群におけるBICRにより確認された客観的奏効率(ORR)は64.5%(95%信頼区間:52.7-75.1)を示した。なお、奏効期間(DOR)は未到達であった。

一方、安全性として、グレード3以上の有害事象で5%以上の患者に発生したのは貧血、斑状丘疹状皮疹、リパーゼ増加、尿路感染、高血糖、疲労、好中球減少などであり、事前に同試験の用量漸増コホートや拡大コホートでの結果と一致していた。

同試験の結果は、今後開催される学会で発表される予定であるとともに、結果の検証を目的とする3つの第3相試験が実施されている。また、同試験の用量漸増コホートおよび拡大コホートの結果に基づき、パドセブ+キイトルーダ併用療法は2020年2月に米国食品医薬品局(FDA)よりブレークスルーセラピー指定を受けている。

アステラス製薬は、プレスリリースにて「患者さんに新たな治療選択肢を提供することで、アンメットメディカルニーズの高い局所進行性または転移性尿路上皮がんの治療に一層の貢献をしていきます」と述べている。

パドセブ(エンホルツマブ ベドチン)とは
パドセブは、ほぼ全ての尿路上皮がん細胞に発現し、細胞間の接着に関連するネクチン-4というタンパク質を標的とするファーストインクラスのADCである。がん細胞上でエンホルツマブ ベドチンがネクチン-4に結合して標的細胞内に取り込まれるとモノメチルアウリスタチンE(MMAE)と呼ばれる細胞障害性物質が放出され、がん細胞の増殖を抑制もしくは細胞死を誘導すると考えられている。同剤は米Seagen社と共同開発を行っている。

(参考:アステラス製薬株式会社 ニュースリリース

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)とは
キイトルーダは、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するリガンドであるPD-L1とPD-L2との相互作用を阻害する抗PD-1抗体であり、免疫チェックポイント阻害薬の1つ。キイトルーダがPD-1に結合してこの受容体とリガンドとの結合を阻害することによって、腫瘍細胞のPD-1経路を介する抗腫瘍免疫応答の阻害を解除し、がん細胞の増殖を抑制すると考えられている。キイトルーダはMerck社の製品であり、日本ではMSD社という名で製造・販売を行っている。

(参考:MSD株式会社 ニュースリリース

参照元:
アステラス製薬株式会社 ニュースリリース

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